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2022年9月14日(水)

軍事費まで隠蔽

根拠不明の概算要求

 防衛省は2023年度予算の概算要求で過去最大の5兆5947億円を計上しましたが、金額を一切示さない「事項要求」が大半を占めており、積算根拠が一切示されていません。安倍政権時の数々の疑惑にとどまらず、軍事費まで「隠蔽(いんぺい)」されようとしています。

 防衛省は例年、ホームページで公開する概算要求の資料で、事業ごとに「○機・○億円」など金額を明記していました。ところが23年度は総額以外の金額を全く載せていません。それだけにとどまらず、各装備品の調達数や物件費などの内訳、陸海空自衛隊など機関ごとの内訳も不明。さらに自衛隊員の定数までも「事項要求」だとして明らかにしていません。

 これでは、なぜ「5兆5947億円」なのか、その積算根拠が分かりません。さらに、事項要求の件数さえ、「現時点で答えられない」(防衛省担当者)としています。

 浜田靖一防衛相は2日の会見で、金額を示さずに国民の理解が得られるのかとの質問に、「内容や金額は予算編成過程を通じて結論を得るから答えられない」と正当化しました。

 防衛省記者クラブに30年近く在籍していた防衛ジャーナリストの半田滋さんは「個別の価格が出ない概算要求書を初めて見た」と驚きます。メディアの報道で一部事業の金額が報じられていることから、「記者説明会で質問があれば回答しているのだろう」と指摘し、「公開資料で金額をふせれば国民は中身を知ることができない。10月の臨時国会で野党が質問する糸口さえ与えないことになる。国民や野党への説明責任を放棄し、隠蔽に等しい。国民が訳の分からないうちに、防衛費のGDP(国内総生産)比2%へ踏み出そうという狙いだ」と批判しました。

 浜田防衛相は2日の会見で、「事項要求については、(国家安全保障戦略など)3文書の改定もあり、そうしたことも踏まえて議論していく」と述べましたが、半田氏は「13年に安保戦略が初めて出た時も、概算要求は事項要求ばかりでなかった。要するに説明になっていない。自分たちがやりたいことのために、屁(へ)理屈をつけるという安倍政権から始まった手法が日常化している」と指摘しました。


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