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2021年12月5日(日)

きょうの潮流

 全長4・5メートル、重さは210キロもあったといいます。米軍機が上空から投げすてた燃料タンク。1本は民家からわずか20メートルの場所に落ち、もう1本は山中で見つかりました。ともに青森・深浦町内の集落近くです▼「直撃していたら死んでいる。ぞっとする」。落下当時、現場近くで農作業をしていた住民がその時の恐怖を地元紙に語っています。当初米軍は岩木山付近の「非居住地域」に落としたと発表していました▼あわや大惨事の重大事故。なぜ起きたのか。防ぐためにはどうしたらいいのか。徹底して原因を調べ、対策を講じる。そんな当たり前のことが日本にはできません。日米地位協定の壁があるからです▼タンクは米軍に持ち去られ、事故機にもいっさい触れられず。沖縄でもくり返されていますが、空から何を落とそうが、米兵が犯罪を起こそうが、処罰もできない。こんな異常な状態が70年以上もつづいているのです▼「協定には在日米軍の訓練にかんする規定も、有事と平時の区別もない」。米軍の特権を戦後の歴史から明らかにした国際政治学者の山本章子さんは、日本各地の住民に深刻な被害をもたらしている協定の不平等さを訴えています▼憲法の上にあるとまでいわれる日米地位協定。口では国民の命や安全、国益第一を声高に叫びながら、それと真逆な従属関係を放置する日本政府。オミクロン株の急拡大に外国人の入国を禁止しましたが、ここでも米軍人は例外です。改めて問いたい。これで主権国家といえるのか。


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