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2021年11月28日(日)

きょうの潮流

 「この国では、弱って動けない人のもとへ出かけていくのが当たり前」。そんな言葉にひきこまれるように、写真家の内堀タケシさんが、アフガニスタンに通い始めたのは20年前から▼日常のくらしや子どもたちの表情を本にまとめてきました。ある時、通信社の記者が取材のために貧しい少女たちを食堂に呼びました。目の前には山盛りのフライドポテト。でも誰も手を付けようとしません。そのうち「家に持ち帰ってもいいですか」と小さな声で▼それを見ていた内堀さんは自分が恥ずかしくなったそうです。おなかをすかした少女たちはガツガツと食べてしまうだろう。そう考えていたら、自身のことよりも家族の空腹を思っていた。この国の子どもたちの尊くも美しい心に出会えた瞬間だったと(『アフガニスタン 勇気と笑顔』)▼いま厳冬を前に人びとは深刻な飢えに苦しんでいます。タリバンの復権から100日余。政治や経済は機能せず物価は高騰、干ばつの影響もあって日々の糧を得るのも困難な状況です▼大規模な人道支援をもとめる世界食糧計画によると、国民のほとんどが十分な食事をとれず、栄養失調や寒さで100万人もの子どもが亡くなる恐れもあるといいます。国連のグテレス事務総長も経済再生への協力を国際社会に呼びかけています▼貧困にあえぎながらも、取材に訪れた記者をもてなす様子をテレビが伝えていました。温かさや思いやり、人間の尊厳を失わないアフガニスタンの人たちの姿がそこにあります。


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