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2021年6月2日(水)

きょうの潮流

 何の罪もないのに、そこに住んでいるというだけで“犯罪予備軍”のように扱われる―。それが、政府・与党が成立を狙っている土地利用規制法案です▼基地の周囲約1キロ圏内が監視区域となり、外国勢力に土地を売っていないか、基地の機能を阻害する行為を行っていないかを監視します。土地の売買で届け出義務が発生し、怠れば懲役刑も▼重大な私権制限にもかかわらず、住民は区域指定を拒否できません。しかも、原発や民間空港、将来的には鉄道周辺なども監視対象になる可能性があると、政府は答弁しています▼「1キロ圏内」とは、どの程度の範囲なのか。本紙はいくつかの基地で作図を試みましたが、予想外の広さに驚きました。基地1カ所で市や町が丸ごと範囲に入るところもあります▼「基地周辺で外国人が土地を購入しており、自治体から不安の声があがっている」。これが、法案の提出理由です。ところが、防衛省が既に全国約650の基地周辺で調査を行ったものの、外国人とみられる土地所有はわずか7筆。意見書も全国でわずか16件です。電波妨害や飛行機の運航を妨げる障害物も、すべて現行法で対応できます▼そんな中、一部与党議員から、とんでもない議論が出ました。「辺野古新基地反対で座り込み参加者の弁当のゴミが基地に飛んで機能を阻害している」―だから取り締まれと。法案の必要性がことごとく崩れ、残されたのは戦前のような国民の弾圧・監視です。国会最終盤、審議すべき法案はほかにあります。


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