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2021年5月8日(土)

きょうの潮流

 書道や篆刻(てんこく)、美術に音楽。多くの趣味をもち、人生を楽しんでいたといいます。公務員の仕事にも誇りをもってとりくみ、明るく誠実な人だったと…▼国有地が8億円以上も値引きされ、森友学園に売られた問題。ときの安倍首相夫妻が絡んだ土地取引をめぐる公文書の改ざんを強要され、自死にまで追い込まれたのが近畿財務局の赤木俊夫さんでした。一番大切な人が目の前で壊れていく。残された妻の雅子さんは、その姿を見るのが何よりもつらかったと話しています▼本当のことを知りたい―。雅子さんが国を相手に起こした裁判。焦点になってきたのが、改ざんの経緯を記したとされる「赤木ファイル」の存在です。これまで国は存否さえ明らかにせず、野党の追及にも答弁を避けてきました▼提訴から1年余。ようやくファイルの存在を国が認めました。ただ提出は国会閉会後で黒ぬりが必要などと主張、原告側は全面開示を求めています▼ひとりの人間の人生を狂わせ、命まで奪いながら、この不誠実さ。それは、政権ぐるみで数々の疑惑を覆い隠そうとしてきた安倍・菅政治に通じます。自分の身に降りかかる行いには口をつぐみ、だれも責任をとらない。その無謀さが国を滅ぼすことは先の戦争で証明されているのに▼いまもコロナ危機のもとで五輪が強行されようとしています。感染拡大を抑える対策や見通しも示せないままで。真実と責任を追い求める雅子さんのたたかいは、そんなおろそかな国のあり方に一石を投じています。


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