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2021年4月28日(水)

きょうの潮流

 人が多く集まる場所で起きる健康被害で最も憂慮されるものの一つは、感染症のまん延。万が一世界的な流行が発生していたら、大会自体の開催が危ぶまれる事態も。国家自体の危機管理が課題となってくる―▼2020年の東京オリパラ大会を前に救急や災害医療の専門グループがまとめていた「看護師の対応ガイドライン」。その感染症対策の項に記されています。ほかにも熱中症、事故やテロによる多数の傷病者、外国人への対応など内容は多岐にわたっています▼医師や看護師には会場だけでなく受け入れる病院でも適切な対応が要求されると、役割の重さを強調しています。いま、その万が一の事態が起きているなかで五輪組織委が看護師500人の動員を要請していることがわかりました▼本紙が入手した組織委の要請文には看護協会にたいし、参加日数は5日以上、早朝や深夜を含め1シフトあたり9時間程度、大会前の研修は必須と求めています▼これだけ医療の崩壊やコロナ治療の過酷さが叫ばれているときに大量の看護師を駆り集めればどうなるか。ある医療関係者は「正気の沙汰とは思えない。逼迫(ひっぱく)している医療現場から見ればオリンピックはまさに不要不急のイベント」だと▼内外から中止を訴える声が相次ぐなか、開幕まで3カ月を切った五輪。世界中から人が集まり、さまざまな変異ウイルスがもちこまれ各地に感染を拡大させる舞台にも。その責任は誰がとるのか。いまは街を消灯するよりも五輪の灯を消すときです。


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