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2021年4月11日(日)

きょうの潮流

 「ブラックホールだ」―。ある自民党国会議員が顔をしかめていました。辺野古への米軍新基地建設計画のことです▼埋め立てが狙われる大浦湾に軟弱地盤が見つかったことから、防衛省は地盤改良を計画。そのための設計変更を沖縄県に申請中です。しかし同議員は諦め顔で「完成は無理だ。土砂と費用をどこまでも吸い込んでいくことになる」と▼政治的にも技術的にも行き詰まる新基地計画。米国からも困難視する見方が相次いでいます。米シンクタンク・戦略国際問題研究所の報告書(3月18日)は、工事の遅れや経費高騰をあげ、「(計画通りには)完成しそうにない」と指摘しました▼設計変更で防衛省は、埋め立て土砂の採取地に沖縄戦の激戦地だった糸満市と八重瀬町をあげました。沖縄戦では県民の4人に1人が犠牲に。本紙日曜版(4月11日号)で糸満市長の當銘(とうめ)真栄さんは「糸満市は沖縄戦終焉(しゅうえん)の地。遺骨の混じった土砂を、米軍基地をはじめ、いかなる工事にも使ってはいけません」▼この問題には国際的な注目も集まっています。英紙ガーディアンは計画断念を求める沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんをとりあげ、「辺野古の基地に賛成か反対かは関係ない。人道上の問題だ」という言葉を伝えました(3月22日電子版)▼日米両政府は辺野古への建設を「唯一の解決策」と再確認し、力ずくで工事を急ぐ構えです。「人としての心」までブラックホールに吸い込まれてしまったかのようです。


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