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2021年3月5日(金)

きょうの潮流

 野村萬斎演出・主演の舞台「子午線の祀(まつ)り」。戦後を代表した劇作家・木下順二の「平家物語」にもとづく大作です。今月下旬の東京公演まで全国5劇場をめぐっています▼平家一門は源義経に追われ、いよいよ壇ノ浦の合戦に。その前夜、総大将の平知盛(とももり)に、巫女(みこ)の影身が静かに語ります。「大自然の動きは非情でございます……非情なものに、新中納言さま、どうぞしかと眼(め)をお据えくださいませ」▼壇ノ浦の合戦は月の引力による潮の干満が勝敗に影響しました。木下順二は「自然の法則または歴史の必然、その非情の動きのなかで、いったい生きるというのはどういうことか」を考えたかったと語っています▼いま世界は非情な大自然の逆襲に大きく揺さぶられています。新型コロナによる死者は250万人を超えました。温暖化による異常気象も頻発しています。ウイルスの感染拡大だけでなく、温暖化の影響も身近なところに現れています▼風水害などに備える住宅保険の保険料が今年跳ね上がりました。わが家は1・8倍にも。大きな要因は近年の被害の深刻化です。関西を襲った台風の影響もあり、2018年に支払われた保険金は1兆5700億円。その前年までの5年間平均の9倍です▼疫病や災害に祈るしかなかった時代と比べ、はるかに科学が進んだ現代。問題は、人類の知恵と力を社会や政治に生かすかどうか。PCR検査を増やさず、石炭火力発電所を増やすような政治は「非情なもの」から目をそらしつづけています。


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