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2020年12月19日(土)

きょうの潮流

 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった…。川端康成『雪国』の有名な書き出しです。場所は群馬と新潟を通す上越線の清水トンネルであるとされています▼小説の舞台は越後湯沢温泉。都会から向かうと、三国山脈や越後山脈が連なるこのあたりから冬の光景は一変します。白銀がつづく世界へと。国土の半分以上を豪雪地帯が占める日本は「世界一の雪国」ともいわれます▼長く雪とともにあり、なじんできた地域。しかし、この降り始め、12月の大雪は予想をこえました。上越線と並行して走る関越道では湯沢を越えた付近で、およそ千台の車が立ち往生。16日夜から交通障害が発生、数十時間も車中で過ごし、雪を食べてしのいだという運転手も▼下りは解消されて自衛隊や高速道路の職員が食料を配っていますが、体調を崩したと訴える通報が相次いでいます。寒さやエコノミー症候群も心配され、一刻も早い救出がもとめられます▼あっという間に降り積もり、交通の大動脈を遮断した雪は、さまざまな配送にも被害をもたらしました。今後、週末にかけて日本海側を中心にふたたび雪が強まる恐れもあります。交通やインフラへの影響、落雪や停電をはじめ、十分な警戒とともに早めの対策が必要です▼地球温暖化によって、雪国でも少雪と大雪の二極化が進んでいると専門家が指摘してから久しい。その傾向はますます。雪は、天から送られた手紙といわれます。それを受けとめるのは、われわれ人間です。


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