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2020年11月20日(金)

きょうの潮流

 なぜ、予防がうまくいかないのか。村の若者はこう答えた。「10年後はエイズじゃなくても飢餓や暴力、戦争で亡くなっている。いま予防する意味はあるのか」▼長崎大の山本太郎さんがアフリカで感染症対策に携わっていたときの経験を語っています。村々を回って指導したが患者は減らない。それは彼らの理解や私たちの説明が足りないわけではなかった。10年後の自分を想像できなかったから(『疫病と人類』)▼ウイルスが広がるか、それとも収束するか。それを決めているのは人間の側だ―。新型コロナウイルスの感染がふたたび拡大するなかで社会のありようを思うとき、専門家からの警鐘が響きます▼米国は感染者が連日10万をこえ、欧州では再度の都市封鎖。日本も東京をはじめ1日の感染数が各地で過去最多を記録しています。しかし菅首相は最大限の警戒状況にあるとしながら「GoTo」の見直しもせず静かなマスク会食を呼びかけるだけです▼川で捕った魚やカエルを食べる外国人実習生、学びや生活の困難がつづく学生、仕事を奪われた非正規労働者や文化人。拡大を防ぐ手だてとともに、コロナ禍にあえぐ人びとをどう支えるか。それを示すことが国の役割なのになりゆきや前のめりの五輪開催ばかり…▼あらゆる災いが詰まったパンドラの箱を開けたら、最後に残っていたのは「希望」だった。山本さんは寓話(ぐうわ)をひきながら、希望を未来へとつなげていくのは私たち自身だと。一人ひとりが大切にされる社会をめざして。


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