しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年10月31日(土)

きょうの潮流

 たたかう本屋です。地域とのつながりを絶やさないため、理不尽な出版流通の仕組みにあらがうため、まちの文化を守るために▼大阪市中央区・谷町6丁目の駅近くにある隆祥館(りゅうしょうかん)書店。店主はシンクロ水泳の日本代表選手だった二村知子(ふたむら・ともこ)さん。小さな店内には日本や世界の今を映し出す骨太の作品が並びます。しかも売り上げた数がすごい。500冊を売って全国1位を記録した本も▼新刊を読みこみ、来店する一人ひとりの顔や好みを覚え、その人に合った作品をすすめる。読書は心の森林浴をモットーに、つくってきた信頼関係があります▼もう一つの信念は差別を扇動するような本は置かないこと。そこには大手書店ばかりに優先配本しながら、ヘイト本を押しつけてくる取次店への怒りも込められています。先代の父、善明(よしあき)さんは「本は毒にも薬にもなる。右から左へ流すものではない」と。創業70年余の苦闘の歩みはジャーナリストの木村元彦(ゆきひこ)さんが『13坪の本屋の奇跡』にまとめています▼作家と読者の集いも頻繁に開いてきました。先月は「都」構想の問題点を考えるトークイベントを。大阪の伝統を継いでいくためにも「都構想には反対です」と知子さんはきっぱり▼読書週間が始まりました。コロナ禍で読書量は増えているにもかかわらず、各地のまちの本屋は次々と姿を消しています。この20年でほぼ半減したとの調べもあり、隆祥館書店のたたかいは続きます。きょうも思いを込めて。「手にとる本を未来につなげていきたい」


pageup