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2020年10月15日(木)

きょうの潮流

 いまごろ各地で花を咲かせ、季語にもなっているコスモス。その歴史は比較的浅く、メキシコが原産で日本にひろまったのは明治以降といわれます▼♪淡紅(うすべに)の秋桜(コスモス)が秋の日の何気ない陽溜(だ)まりに揺れている―。山口百恵さんが歌った「秋桜」。結婚前の娘が母を思う曲を懐かしく聴きました。40年前の百恵さんのラストコンサートが先日テレビで流れていました▼21歳、人気絶頂での結婚、引退。みずからの幕引きは芸能界をこえて世に衝撃を与えました。アイドルであることと、人として生きてみたいという葛藤と決断を、当時出した自叙伝『蒼い時』につづっています▼ただ走り回り眠ることさえ自由ではなかった日々。アイドル全盛期だった時代、たくさんの若者が同じ境遇に置かれていました。そんなことに思いをめぐらせたのは、歌謡史に数々のヒット曲を刻んだ作曲家・筒美京平さんの訃報が伝わったから▼曲名だけでよみがえる青春。その裏で、どれだけの涙が流されてきたのか。最近、アイドルだった1人は当時をふり返り、あまりにも忙しすぎて家に帰れば泣いていたと話していました▼改善されてきたとはいえ、芸能界の働き方は今も過酷です。昨年も大手事務所3社が労基署から長時間労働の是正勧告をうけました。恋愛禁止といった人権問題もくすぶっています。若さを食いつぶすのではなく、芸能活動と人生を両立できる世界に。「幸せになります」。百恵さんが残したメッセージは、すべての人びとに向けられています。


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