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2020年10月10日(土)

きょうの潮流

 甘えん坊のジョニーベアー。米イエローストーン国立公園で母とくらす「もっともみじめで愛らしい子グマ」の名は、シートンの物語によって世界中の人びとに知れわたりました▼いまから100年以上前。自然を壊し野生動物を絶滅に追いやりながら開拓を進めたアメリカは、各地に国立公園や森林保護区をつくりました。しかし、人間の食べ物をクマに与えるなど、野生をうばい自立できなくしていることにシートンは早くも気づきました▼人間によって追われていく動物たちの習性の変化。動物らしく生きられる環境を保証することの難しさ。今日的でもある課題を物語を通して描いています。人は動物とどうむきあうか、ということを▼石川県が10年ぶりに出没警戒情報を発令、山形では目撃が前年の3倍。この秋、全国でクマが人里に現れています。市街地や住宅街でも姿をみせ、住民が被害をうけるニュースが相次いでいます▼今年はクマのエサとなるドングリが大凶作。飢えたクマが農作物や人の捨てる食べ物をもとめ、山から降りてくる可能性が高いといいます。繁殖の関係で2歳になる子グマが多く、人を恐れない世間知らずの彼らが町で走り回っていると指摘する専門家もいます▼日本でも人気のテディベアのもとになったといわれるジョニーベアー。古来クマは親しまれ、敬われ、人びとの精神や文化に大きな影響をもたらしてきました。同じ自然界に生きる動物とのかかわり方。それは環境を変えてしまった人間の問題です。


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