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2020年9月30日(水)

きょうの潮流

 ひざを抱えながら、ひとり暗闇に沈んでいく絶望感。このつらさから抜け出すことは絶対にできない。そんな思いのときは、とにかく周りに伝えてほしい▼死にたい人であればだれでもかけることができる「いのっちの電話」(090―8106―4666)。それを10年近く続ける作家の坂口恭平さんは、ほとんどが口に出せずに悩み苦しんでいるといいます▼死にたいと思うことは人間にとって特別ではなく、あなただけではない。その感情には波があり、必ずやまた抜け出せる。きついときは、いつも通りのふりをしてみて…。自身の体験も交えながら著書『苦しい時は電話して』で対処法を語りかけています▼ドラマや映画で活躍してきた俳優の竹内結子さんが亡くなりました。自殺とみられています。三浦春馬さん、芦名星さんに続く悲報。それぞれの事情は異なるでしょうが、芸能人の死の連鎖は衝撃をひろげています▼不安や憂うつ、いらだち。いまコロナ禍で心の不調を訴える人が増え、自殺者も増加傾向にあります。専門家は早めの相談や治療を促し、SOSを出すことは恥ずかしくないという社会的な認識が必要だといいます▼日本の自殺率は先進国でも最悪の水準で、とくに若者が高い。それなのに政府は「それぞれが自殺のない社会をつくっていただけるようにお願いしたい」(加藤官房長官)と、まるでひとごと。「死にたくなるのは、懸命に生きているから」と坂口さん。暗闇から人びとを救える。そんな国でありたい。


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