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2020年9月26日(土)

きょうの潮流

 それは、長く奥底に抑え込んできた心の叫びでした。昨年末に地方都市の駅前で開かれたフラワーデモ。30代の女性は声をふるわせ、学生のときに受けた性暴力を語りました▼いままで、自分も悪いと無理に閉ざしてきたいまわしい過去。決して消えない傷を家族以外にはじめて打ち明けました。そのきっかけの一つに、彼女はある女性の存在をあげました。それが伊藤詩織さんでした▼ときの権力者に近しい男性ジャーナリストから望まない性行為をされた―。実名と顔を出して公に訴える姿と行動が、どれだけ同じような被害をうけた人を勇気づけたか。日本における#MeToo運動の走りにもなりました▼毎年恒例の米タイム誌「世界で最も影響力のある100人」。今年の先駆者部門に伊藤さんが選ばれました。勇敢にも告発することで日本の女性たちに変化をもたらしたと紹介。本人も「この道を堂々と歩いていいんだよ」といわれたような気がしたと話しています▼2年続けて「100人」となったテニスの大坂なおみ選手は象徴部門で選出。黒人やマイノリティーの命の尊さを示したと称賛されました。2人は激しいバッシングにあいながらも、信念を貫いています▼今回の受賞は「たくさんの声が重なって響いて選ばれたもの」。いまもジャーナリストとして性暴力の問題を取材している伊藤さんは、ともに支え、たたかう人びとに思いを寄せます。差別や暴力のない世界。それを実現させる力は、わかりあい、つながることだと。


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