しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年9月2日(水)

きょうの潮流

 廃虚の街で水を求めていたときでした。朝鮮人が毒を投げ込んだから飲んではいけないと井戸に札が。「ちくしょう! どうしてやるか見ろ! こういう怒りが、自分が苦しんでいるときだけに、いっそう強くこみあげてくるのだった」▼歌舞伎の中村翫右衛門(かんえもん)が関東大震災を自伝でふり返っています。竹やりや日本刀をもった自警団が朝鮮人とみれば惨殺し、もつれたことばがあれば引きずってゆく。「私は後に真相を知ったとき身ぶるいした」▼当時の証言を集めた西崎雅夫さんの『関東大震災朝鮮人虐殺の記録』でも紹介されています。東京の至る所で起きた朝鮮人や中国人、社会運動家への襲撃。証言集には一般人や文化人だけでなく、警察や軍人、政治家ら千をこえる具体例がつづられています▼歴然と残る史実。それを平然とねじ曲げる動きがつづいています。1日の朝鮮人犠牲者追悼式。小池都知事は4年連続で追悼文を見送り、都がヘイトスピーチと認めた団体がまたも近くで集会を▼惨劇を生んだ背景にあったのは、ときの政府による差別や偏見、憎悪の意識が国民に植えつけられていたから。式典の参加者は教訓を口々に語り、加害の歴史にむきあわない姿勢を批判しました▼日本社会にヘイトをはびこらせてきたのは安倍政権です。首相みずから歴史をゆがめ、差別を助長してきました。しかし、それを許さず、毎年の追悼式のように声を上げ、暴政に立ちはだかってきた人々の行動。それもまた後世に継がれていく史実です。


pageup