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2020年7月14日(火)

きょうの潮流

 居間の壁一面に飾られた16個の柱時計。いずれも針は、広島に原爆が投下された8月6日の「午前8時15分」を指しています▼96歳になる岩手県原爆被害者団体協議会元会長の斎藤政一さんが、運動を通じてコツコツ集めました。いま原爆パネル展で青森県内を巡回中です▼船舶通信隊の陸軍少尉として広島の兵舎で被爆しました。爆心地から1・8キロ地点です。「軍の施設は海岸線にありました。なのに、人口密集地に対する原爆投下は、子どもや非戦闘員の大量殺りくをねらったもの。人道上も国際法も許されない。二度とあってはならない犯罪です」▼救護にあたる途中見た光景が忘れられません。焼けただれ、衣類もなくなり皮膚が垂れ下がった12、13歳の女子学生の集団が「お母さん、助けて」と叫んでいました▼斎藤さんは原爆放射線の後遺症で、天候の変化、気圧の変動で船酔いしたように具合が悪くなります。家族の支えで、2010年と15年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に最高齢被爆者として参加しました。国連本部の原爆パネル展で訴えました。「平和を壊すのも人間です。平和をつくるのも人間と信じたい」▼コロナ禍で延期になったNPT会議は、来年1月開催で調整中です。斎藤さんは体調整えながら意気込みます。「禁止条約が採択されて3年。新しい可能性のもと惨状を知る被爆者として、米国をはじめ核保有国にたいし非人道的兵器は廃絶しかないと訴えたい。道半ばで逝った仲間の思いを重ねて迫りたい」


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