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2020年7月9日(木)

きょうの潮流

 古来日本の文化とは川の文化でもありました。川の水を治め地を養い、米をつくる。人や物を運ぶ。個々の川には、その土地の歴史が刻みつけられています▼この国の川は急流で短い。降った雨は洪水流となって一気に海へ突っ走り、あとはたちまち乾いてしまう。その暴れ川の氾濫原に土地利用をもとめてきたのが日本人であった―。『水の文化史』を著した富山和子さんは、昔から水害は宿命的で治水が最大の課題だったと説いています▼しかしいま、魔物のように荒れ狂い、各地で人びとや町をのみ込んでいく姿は、もはや治めることができないほど激しい。数十年に一度、経験したことのない豪雨がくり返される現実は、川とのつきあい方さえ変えてしまいます▼北極圏に位置するシベリアの町で40度近い気温が記録されるなど、地球全体が警報を鳴らす時代。温暖化を抑え、異常なありさまを元に戻す責任もまた、人類に問われています▼「どんな試練なのか…」。一夜にして生活のすべてを失い、途方に暮れる被災者がもらしていました。コロナ禍に水害。列島の至るところで、命とくらしを脅かす危機があるいまこそ、政治が役割を果たすとき。ところが、ときの政府は自利ばかりを追い、疑惑にまみれ、人心や社会を沈ませています▼文化とはゆとりである、そう富山さんは呼びかけます。「先祖たちが培ってきたそのゆとりを現代の私たちが取り戻せるかどうかが、いま自然からも歴史からも、試されているように思えてならない」


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