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2020年6月5日(金)

きょうの潮流

 民主はないが、自由はある―。特異な地はよくそう言い表されます。政治的な権利と市民的自由を点数化して比べてみたら、世界で最も点差が開いたのが香港だった。そんな調査もあります▼支配が強まる中国式の政治、一方で多元化する香港社会。政治と社会が異なるかたちで併存する姿は「中港矛盾」と呼ばれてきました。その不安定さを抱えながらも続いてきた制度が、いま崩されようとしています▼中国政府が香港に導入を決めた「国家安全法」。これまで公約してきた「高度な自治」や言論・集会の自由といった権利を奪いかねない弾圧法です。香港の政治活動家は本紙に「いままでこんなに不安を感じたことはない」と恐怖を口にしています▼天安門事件から31年の4日、毎年開かれてきた香港の追悼集会がコロナ感染を理由に不許可となりました。「一国二制度」の物差しといわれてきた集会が許されなかったことで市民の間には民主化運動への危機感が漂います▼政府への抗議が国家転覆の暴徒やテロとみなされる。治安維持の名目で人権が抑圧される。このままでは香港の自由も死を迎えてしまう。批判の声に連帯する動きも国際社会にひろがっています。今月は逃亡犯条例に反対した空前のデモから1年の節目。たたかいの火は燃え続けています▼いま差別や抑圧に抗して、立ち上がる人びとは世界各地で。どこの国のどんな体制であっても、より良い社会をめざす市民の行動を力で抑え込もうとする者たちに未来はありません。


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