日本共産党

2004年1月1日(木)「しんぶん赤旗」

04年 政局展望

イラク、負担増、改憲、2大政党…

政党の存在と役割問われる年に


 二〇〇四年の政治は「イラク」・憲法、暮らし・経済問題、七月の参院選を軸に、それぞれの政党の存在意義と役割が問われながら展開しそうです。昨秋の総選挙の結果として民意と離れた形でつくられつつある“保守二党政治”体制の下で、戦争と平和、経済・暮らしの課題をめぐって政治と国民との間で軋轢(あつれき)と矛盾が今後深まるのは避けられません。小泉・自民党が〇五年十一月までの改憲草案作成を公約に掲げる憲法問題が一年を通じて政治の中に通奏低音のように流れることになります。


政権揺るがすイラク派兵

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基本計画の閣議決定を前に首相経験者との会談に臨む小泉首相=昨年12月9日、首相官邸

 戦後はじめて日本の武装部隊が戦闘地域へ出ることになったイラク問題では事態の展開しだいで小泉政権を根底からゆるがせることが予想されます。

 イラク対応問題で小泉純一郎首相は十九日召集される通常国会にイラク特措法の基本計画にもとづく自衛隊派兵について国会承認を求めます。二月末ないし三月とされる陸上自衛隊のイラク駐留への準備作業と時期が重なる国会審議は波乱含みです。

 通常国会では七兆円もの国民負担増を盛り込んだ来年度予算案が俎上(そじょう)にのぼります。後半国会では年金改悪法案のほか有事法制の一環である国民「保護」法制関連六法案、憲法改正のための国民投票法、教育基本法改正が日程にのぼる見通しです。

政権先行き不透明

 小泉首相は、通常国会の懸案を処理したうえで、今夏の参院選で一九八九年以来の単独過半数を回復し、〇七年九月までの任期をまっとうする長期政権の足場を確実にしたいとの基本戦略です。

 「確かに小泉首相は向こう三年間(総理総裁に)在任できる権利は持っているが、その権利を行使できるかどうかはわからない」(自民党三役経験者)

 小泉首相の生命線ともいえる内閣支持率は昨年十一月末以降、大幅な低落傾向です。政権維持のためによりかかるブッシュ米大統領も今年が大統領選、再選の可否はイラク情勢しだいといわれます。

 参院選は「その後の小泉内閣の命運がかかる」(参院自民党幹部)。ハードルは低い(過半数確保まで五十六議席、前回獲得議席六十四)というものの、小泉「構造改革」で組織基盤が崩れている系列型選挙が中心の参院選だけに見通しは不透明です。

 イラク事態、七兆円負担増、改憲加速…「行き詰まれば早い時期に政権を投げ出す事態も」(自民党派閥幹部)との声も聞かれます。自民党内は「ポスト小泉」をにらむ動きも本格化しはじめました。

 しかし、いまの自民党が、小泉後も政権党として生き延びる政党像を描けているわけではありません。現に安倍晋三幹事長のもとで党の基本理念の見直し作業に入りましたが、「私の支援者は自民党を支持しているのではなく私個人を支持している。このままでは立党五十年を迎える前に、この党は崩れてしまいかねない」(十二月十八日、立党50年プロジェクト・基本理念委員会設立総会の『出席議員発言要旨』)といった党崩壊論も出る状況です。

国民基盤持てぬ 保守二党制

 昨秋の総選挙以来の政治現象の特徴は日本政治を「保守二大政党」体制へ向けようとする急激な動きです。一連の動きを主導するのは日本財界とアメリカです。

 日本経団連が今年から企業から政党・政治家への政治献金あっせんを十年ぶりに再開します。政党レベルでは自民党、民主党が主な献金対象。政治資金と引き換えに政策要求の実現に圧力を加えることを通じて「保守二大政党」体制を資金面からバックアップする役割を買って出ました。

 アメリカが日本政治に「保守二大政党」体制を期待し、「野党」の民主党へもエールを送っていた事実を、菅直人民主党代表が「総選挙前、アメリカのベーカー駐日大使と二度にわたって話す機会があった。その会で二大政党のあり方をベーカー大使と話をできたことが、今回の総選挙で追い風になった部分もあった」(十二月十六日夕、東京都内の会合のあいさつ)と明かしています。

 民主党は、来年度活動方針案で、財界団体などとの政策立案の共同作業を前進させるとして“保守政党色”を鮮明に打ち出しています。昨年暮れから自民党、民主党の間で衆参比例代表定数をさらに削減する水面下の折衝がひそかにおこなわれています。少数政党をいっそう不利に追い込んで保守二党体制の優位を固定するねらいからです。

 国民負担増とイラク戦争の策源地の日本財界とアメリカの主導による「保守二大政党」政治は、国民に政治基盤を置けない政治にならざるを得ない宿命をはらんでいます。

 国民の注目は 昨秋の総選挙直後の博報堂生活総合研究所の満足度調査(〇三年十一月度)で「政治について」はわずか14%。総選挙結果に満足していない結果が出ています。国民の政治意識は流動的です。

 一月中旬に、五つの主要政党のうち日本共産党、自民党、民主党の党大会が開かれます。自民、民主の「保守二大政党」の流れに対抗する日本共産党を中心にした政治潮流の存在に国民の目が注がれています。


2004年の主な政治日程

 1月12日 民主党大会(13日まで)

   13日 日本共産党大会(17日まで)

   16日 自民党大会

   19日 通常国会召集?

 3月?   経済財政諮問会議が郵政民営化で中間報告

 6月 8日 主要国首脳会議(米ジョージア州、10日まで)

 7月    参院選投票

 9月?   民主党代表選

 10月8日 アジア欧州会議(ASEM)首脳会議(ベトナム・ハノイ、9日まで)

   20日 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(チリ・サンティアゴ、21日まで)

 秋     経済財政諮問会議が郵政民営化で最終報告


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