2003年12月27日(土)「しんぶん赤旗」
さきの総選挙での買収容疑で自民、民主両党の議員・候補者2人が逮捕されたのに続き、少なくとも5人(自民1、民主3、旧保守新1)の衆院議員・候補が秘書などの逮捕・起訴による連座制の適用を受ける可能性があることが26日までにわかりました。連座制が適用されると当選は無効となり、当落にかかわらず同一選挙区からの立候補が5年間禁止されます。
二十六日、衆院選静岡七区で落選した旧保守新党の熊谷弘元代表(63)派の選挙違反事件で、公選法違反(現金買収)の罪に問われた元公設第一秘書、日高辰也(41)と運動員、金泰亨(36)両被告の初公判が、静岡地裁浜松支部で開かれました。日高被告らは「間違いありません」と起訴事実を認め、検察側は日高被告に懲役一年六月、金被告に懲役一年、追徴金百万円を求刑。公判は結審し、来年一月二十二日の判決で有罪が言い渡されることは確実です。
東京高検は、有罪判決が確定すれば、連座制を適用。早ければ来年二月にも熊谷氏に同一選挙区から五年間の立候補禁止を求める行政訴訟を東京高裁に起こすことになります。
検察側は冒頭陳述で、日高被告が知り合いの記者に対立候補を中傷する記事を書くよう持ち掛けたことも明らかにし、同被告は「情勢に焦りがあった」などと述べました。
宮城県の労組幹部らが民主党候補を支援し、違法な選挙運動の契約を結んだとして逮捕された事件で、仙台地検は二十六日までに、宮城一区で当選した今野東議員(56)、同二区で当選した鎌田さゆり議員(38)=いずれも民主=の二人から、参考人として任意で事情聴取しました。逮捕された労組幹部らの両陣営内での役割や、実際の行動について聞いたとみられます。
宮城県警は十一月から今月にかけ、利害関係を利用して、電話作戦を依頼したなどとして、連合宮城副会長でNTT労組東北総支部執行委員長の相座芳和容疑者(53)、連合宮城会長代理の恵美須浩司容疑者(47)ら計十一人を公選法違反(利害誘導)容疑で逮捕しました。連合宮城と傘下の各労組は民主党候補を組織的に支援しており、容疑者らに禁固以上の刑が確定した場合、今野、鎌田両氏に連座制が適用される可能性は高く、その場合、両議員の当選は無効になります。
さらに、自民党の新井正則議員(埼玉八区)は選対本部長をつとめた所沢市議など十四人が買収容疑で逮捕。また、民主党の都築譲議員(愛知十五区、比例東海で復活当選)も公設秘書、選対本部事務局長ら五人が買収容疑で逮捕、起訴されています。この二議員も連座制の適用を受ける可能性があります。
すでに、自民党の近藤浩候補(愛知四区、比例東海で復活当選)が買収容疑で逮捕され、辞職。民主党の浅野真候補(岐阜一区、落選)も逮捕されており、今回の総選挙での悪質な選挙違反事件が目立っています。