日本共産党

2003年12月27日(土)「しんぶん赤旗」

米占領軍を直接支援

違憲の武力行使に道開く

空自のイラク派兵強行


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 小泉内閣は二十六日、航空自衛隊の先遣隊派遣を強行しました。年明けに狙われている本格的なイラク占領支配への空輸支援の先陣で、違憲の海外での武力行使に道を開くものです。

掃討作戦への支援も

 自衛隊の活動の詳細を定めた「実施要項」(十八日)は、空自のC130輸送機などが修理などをおこなう国として、クウェートなどのペルシャ湾沿岸国を指定。空輸を実施する空港として、イラク国内のバグダッド・バスラ・バラド・モスルの各空港などを明記しています。

 活動内容については、「人道復興支援活動」とともに、占領軍への支援である「安全確保支援活動としての輸送」を明記。政府は「安全確保支援活動」として、「フセイン残党の米軍掃討作戦の支援」をはじめ、「武装兵員の輸送」「イラク人による米占領軍への抗議・抵抗運動の鎮圧の支援」といった活動も「できる」(小泉純一郎首相)としています。

 空自のイラク派兵部隊は、米占領軍が展開する掃討作戦などと一体となって、武装兵員や物資を輸送するのです。

米は“攻撃作戦続行”

 空自が支援する米占領軍の掃討作戦は、軍事作戦そのものです。

 イラク占領軍のキミット作戦副部長(准将)は、二十四日の記者会見で、過去二十四時間で、十九の軍事作戦と三十一回の急襲を展開したことを明らかにしました。

 空自C130輸送機の派遣先の一つであるバグダッドでは、「アイアン・グリップ」作戦と名づけた掃討作戦を展開し、陸軍と空軍による空からの攻撃も実施。キミット副部長は「この大規模な作戦の意図は、(敵を)捕らえるか、殺すかだ」「われわれは攻撃作戦を縮小させることはないし、警戒を緩めることもない」と言明しています。

 こうした掃討作戦は、モスルやバラド、バスラでも展開されています。

実態は「戦闘地域」

 掃討作戦が続いているのは、占領軍への攻撃が相次いでいるからにほかなりません。背景には、不法な軍事占領に対するイラク国民の怒りがあります。

 キミット副部長は同じ会見で、イラク国内で占領軍が、過去一週間で一日平均十七回の攻撃を受けたことを紹介。「アイアン・グリップ」作戦で攻撃対象としたのは、これまで占領軍に攻撃をしてきた迫撃砲のあった場所だったことを明らかにしました。

 空自が使用するバグダッド空港では、米軍のC130輸送機などへのミサイル攻撃が相次いでいます。十二月には、米軍のC17輸送機がミサイルに被弾(十日)しています。

 「戦闘地域には行かない」というのは、政府がみずから、違憲の武力行使にならないようにとイラク特措法で定めた派兵の条件でした。しかし、派兵先の実態は「戦闘地域」そのものなのです。

派兵計画は中止を

 政府は、自衛隊派兵を強行するため「国や国に準じる者による組織的・計画的な攻撃」は「戦闘」だが、テロやゲリラによる襲撃は「戦闘」ではないと、「戦闘地域」の範囲を恣意(しい)的に狭めようとしています。

 一方、石破茂防衛庁長官は、襲撃の際に「あなたは、国や国に準ずる者ですかと聞くわけにはいかない」とものべています。実際には、攻撃を受けているときに、両者を見分けることなどできないのです。

 空自のC130輸送機の塗装を、地対空ミサイルを回避しやすい空色に塗り替え、フレア(せん光弾)や装甲板を装備するのも、派兵先が「戦闘地域」だからです。

 空自の活動は、「戦闘地域」での占領軍支援=海外での武力行使になります。今からでも、派兵計画は中止すべきです。


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