日本共産党

2003年12月26日(金)「しんぶん赤旗」

民間の現地常駐要請

イラク派兵 防衛庁が軍需産業に

石川島播磨重工、三菱重工など

修理・維持管理の技術者


 陸海空三自衛隊のイラク派兵に関し、防衛庁が石川島播磨重工、三菱重工など大手の軍需産業に航空機や艦船、車両等の修理・維持管理のための民間技術者の現地常駐派遣を要請していることが二十五日までに本紙の調べで分かりました。企業側は常駐態勢の最終結論を出していませんが、派遣予定の技術者の間では「危険手当」もないままの“戦地出張”に不安と不満が高まっています。


 防衛庁はイラク派兵に関する自衛隊の活動の実施要項にもとづいて、空自には先遣隊派遣命令、陸自、海自には派遣準備命令を十九日に出しています。空自はC130輸送機をクウェートとカタールに向かわせます。

 当面、防衛庁・自衛隊が技術者の常駐派遣を求めているのは、C130のT56エンジン(米アリソン社製)が砂塵(じん)を吸いこんで、不具合を起こしてしまう可能性があるため。砂塵だと専門家が修理や維持管理をしないと不具合を起こしてしまう、といいます。

 派遣先はクウェートとカタールの米軍が常駐する基地内の予定。

 石播側はトラブルが発生して空自で処理できない場合は出張して対応する方針ですが、防衛庁・自衛隊の強い常駐要請に揺れています。航空機など軍用部品の調達に関しては、すでに日本の商社がアフガニスタン、イラク対応で数カ国に常駐しており、あとは民間技術者の派遣問題だけが懸案となっています。

 これまで海外派遣されている軍需産業の技術者は、訓練での兵器修理が中心で、危険地域への派遣経験はありません。アフガニスタンへの海自の艦船派遣に関しても、企業側は「安全は十分に確認されている」とし、防衛庁も「企業の責任において安全が確認されている」と説明してきました。

 派遣が予定されている民間技術者は「万一、自衛官が亡くなった際には一億円の弔慰金が支払われるというが、私たちの場合はもともと危険手当の設定もない。海外では米英の施設には近づくな、と安全マニュアルで注意しながら、米軍常駐基地での長期的修理派遣は業務だといわれても割り切れない」と語っています。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp