2003年12月21日(日)「しんぶん赤旗」
ブッシュ米大統領とブレア英首相は十九日、リビアが大量破壊兵器開発計画の放棄で合意したことを発表。一方、リビア側も同日、外務省コミュニケで「自らの意思により」核兵器など大量破壊兵器開発を行わないことを決め、「中東・アフリカ地域の非核地帯をめざす」との見解を公表しました。
【ワシントン19日遠藤誠二】ブッシュ米大統領とブレア英首相は十九日、リビアとの間で、生物・化学兵器と核兵器の開発計画、弾道ミサイルを放棄することで合意したと発表しました。
ブッシュ大統領は十九日夕、ホワイトハウスでの記者会見で「リビアの指導者であるカダフィ大佐が、同国における大量破壊兵器計画を公表し廃棄する意思を公に認めた」と言明しました。
大量破壊兵器廃棄の詳細は明らかにされていませんが、米政府によると、リビアは、(1)すべての核兵器開発計画の放棄(2)国際原子力機関(IAEA)への核開発についての報告(3)射程距離三百キロを超える弾道ミサイルの破棄(4)すべての化学兵器計画の放棄、貯蔵する化学兵器の破棄(5)国際機関による監視と査察の即時実施−などを実行するとしています。
ブッシュ大統領はさらに、「リビアは対テロ戦争に完全に従わなければならない」と述べました。
米政権によると、米英両国とリビア政府との交渉は九カ月におよんだとされます。交渉開始時期は、米英両国がイラク侵攻をはじめた時期と重なります。
リビアは、一九八八年に起きた米パンナム機爆破事件と翌年の仏UTA機爆破事件に関与したとして国連による制裁が科せられるなど、十年以上にわたり国際社会から孤立。補償交渉がまとまった今年、国連の制裁は解除されました。米国は昨年五月に発表したテロ報告では、リビアを引き続き「テロ支援国家」としています。
イラクへの軍事侵攻と占領で国際的な批判を受けるブッシュ政権は、今回のリビア政府との合意を、対テロ戦争、中東「民主化」促進の一環として位置づけ、外交上の得点にする狙いです。