日本共産党

2003年12月18日(木)「しんぶん赤旗」

イラク米軍 住民抑圧の軍事作戦

反米デモに銃乱射、射殺

ブルドーザーで老夫婦住居破壊


 イラク占領米軍が、「テロリスト掃討」の名で住民抑圧を進めています。反米デモへの銃乱射、有刺鉄線による村の囲い込み、住民へのIDカード(身分証明書)携帯の義務付け、戦車やブルドーザーなどでの住居の破壊、テロ容疑者の家族・親類の逮捕…など、住民の生命と人権を徹底して侵害しています。(岡崎衆史記者)


 暗やみの中で水平方向に飛び散る銃弾、逃げ惑う人々。バグダッドの西百キロのラマディでは十五日夜、約五百人の反米デモに米軍が銃を乱射し、イラク人二人を殺害しました。米軍は、フセイン元イラク大統領拘束後、激化する反米デモを弾圧。北部のティクリットでも、二機の攻撃ヘリが上空を旋回する下、戦車、装甲車三十台が中心街を巡視し、住民を威圧しました。

有刺鉄線で町ごと囲み

 バグダッドの北八十キロにある町アブ・ヒシマ(人口約七千人)は、有刺鉄線で囲まれている。町を出るため検問所を通るにはIDカードを提示しなければならない−ニューヨーク・タイムズ紙(七日付)が現地からこう報じました。同紙によると、囲い込みのきっかけとなったのは、十月以降激化した巡視中の米軍部隊への攻撃でした。十一月十七日には、装甲車にロケット式手投げ弾が投げ込まれ、乗車していた二等軍曹が死亡しました。

 米軍は、これに大掛かりに反撃します。攻撃に使用されたとみられる家屋を五百ポンド爆弾で破壊。町長やイスラム聖職者などを逮捕しました。その二週間半後、約八キロに及ぶ有刺鉄線で町を囲みました。標識が添えられ、「近付いたり、越えようとするな。さもないと射殺する」との文言があります。十八歳から六十五歳までの男性には、年齢や乗用車の型が英語でのみ書かれたIDカードの携行を義務付けました。

 ロイター通信(八日)も、北部のキルクーク西のハウィジャ村で、老夫婦が所有する小さな住宅の前壁を米軍がブルドーザーで解体したと報じています。

 また、米国防総省筋が八日、イラクで武装勢力幹部の家族が逮捕されているとの事実を認めたと報じました。

戦争のテンポ強め始めた

 米陸軍のベイン准将は、七月発行の陸軍の雑誌への手紙で、情報活動や都市部での戦闘でイスラエル軍と協議するため米軍人を同国に派遣していたことを明らかにしました。

 また、米国防総省高官は八日、ロイター通信に、「前体制の残存者が攻撃を計画し実施しないようにするため、数週間前からたたかいのテンポを強め始めた」と述べ、その際攻撃に使われる建物を破壊していることを認めました。イラク駐留米軍のサンチェス司令官も、「われわれが低強度紛争に従事していることを忘れてはならない。そこでは戦争法が適用される」と述べています。

「かごの鳥だ」住民から反発

 「本当に侮辱的だ」「かごの中の鳥と同じだ」(アブ・ヒシマの三十九歳の小学校教師、ニューヨーク・タイムズ紙七日付)。米軍の掃討作戦による抑圧を受け、イラク住民からはこんな声が相次いでいます。アブ・ヒシマでは、検問所の開く時間が短いため、朝夕の礼拝にモスクにもいけないとの不満もでていると伝えられます。

 「彼らは、自由や幸福をもたらすといっていた」「しかし、私たち全員のなかから敵をつくりだしているだけだ」−ユーフラテス川沿いでの米軍掃討作戦を報じた『USニューズ・アンド・ワールド・リポート』誌(八日号)は、イラク人男性のこんな声を伝えています。


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