日本共産党

2003年12月17日(水)「しんぶん赤旗」

“被爆の現実伝わらない”

原爆投下機 エノラ・ゲイ展示始まる


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15日開館したスミソニアン航空宇宙博物館でエノラ・ゲイを見上げる被爆者(遠藤誠二撮影)

 【ワシントン15日遠藤誠二】広島に原爆を投下したB29爆撃機エノラ・ゲイの展示が、十五日から開館したバージニア州チャンタレーのスミソニアン航空宇宙博物館別館で始まりました。訪米中の被爆者は博物館を訪れ、同機を見学。また米国の平和活動家、歴史家らが、原爆被害の言及がない展示のあり方に抗議しました。

 ワシントン郊外のダレス国際空港の隣にある博物館を訪れた田中煕巳被団協(日本原水爆被害者団体協議会)事務局長ら広島・長崎の被爆者七人は、復元された翼幅四十メートル、全長三十メートルの大型の爆撃機エノラ・ゲイと対面しました。

 銀色に輝く機体の前で広島の被爆者、西野稔さん(東友会事務局次長)は、「私は五十八年前に上空で光るエノラ・ゲイを見ています。これは落としてはならない悪魔の兵器を投下したもの。平和のため負の遺産とし展示すべきだ。でなければエノラ・ゲイは存在する意義がない」と語りました。

 ワシントンから来た学生のリンゼー・トレイナムさん(23)は、「多くの米国人は勝利の象徴とみるかもしれないが、彼らは広島で現実に起きたことを知らないからだ。こういう形では展示すべきでない」と話しました。

 エノラ・ゲイの前で平和団体の代表ら約五十人は「十四万人が殺された」「ノーモア・ヒロシマ」と叫び、十数分にわたり抗議行動を繰り広げました。


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