日本共産党

2003年12月10日(水)「しんぶん赤旗」

重武装で“戦地派兵”

イラク基本計画


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 小泉・自公政権が九日に閣議決定したイラクへの自衛隊派兵の基本計画は、不法な軍事占領支配を続ける米英占領軍などへの支援を明記しています。一方で、イラク全土が戦争状態という現実のもと、派兵の前提条件である「非戦闘地域」の特定はできないまま、無反動砲や対戦車弾など、自衛隊の海外派兵ではかつてなかった重武装を規定。まさに不法な軍事占領に加担するための“戦地派兵”という内容になっています。

占領軍軍事支援広範囲で可能に

 基本計画は、自衛隊の「安全確保支援活動」として、イラク国内で治安維持活動を行っている米英占領軍などに対し、医療、輸送、保管、通信、建設、修理・整備、補給といった軍事支援ができると明記しています。

 同計画によると、米英占領軍などへの軍事支援が可能な地域は、「クウェートおよびイラク国内の飛行場施設(バスラ、バグダッド、バラド、モスルなど)」「ムサンナ県を中心としたイラク南東部」「ペルシャ湾を含むインド洋」と極めて広範です。

 陸上自衛隊の派兵候補地であるイラク南東部のサマワでは、オランダ軍約千百人が治安維持活動に従事し、テロ勢力や容疑者の拘束なども行っています。政府はオランダも「(安全確保支援活動の)対象となりうる」(福田康夫官房長官、六月二十四日、衆院イラク特別委員会)としています。

 政府は、旧フセイン政権残党勢力などに対する米占領軍の掃討作戦が「『安全確保支援活動』の対象となりうる」(同前)としています。米占領軍が展開している掃討作戦は敵対勢力に対する戦闘行動です。それへの軍事支援は、憲法が禁じる武力行使そのものです。

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84ミリ無反動 操作、携行が容易な対戦車火器。対戦車りゅう弾のほか、対人りゅう弾も発射可能。毎分4〜5発を発射。


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110ミリ個人携帯対戦車弾 ロケット弾を発射する携帯式対戦車火器。1人で使用可能。


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96式装輪装甲車 兵員10人。武装は40ミリ自動てき弾銃、12・7ミリ機関銃。戦場での兵員輸送が目的。

 これまで政府が示している見解によると、軍事支援の内容も重大です。

 「輸送」では、武器・弾薬をふくむ軍事物資の輸送や兵員の輸送を含んでいます。小泉純一郎首相は九日の記者会見で「武器・弾薬の輸送は行わない」とのべました。しかし、石破茂防衛庁長官は同日の記者会見で「法的に不可能だとは認識していない」と明言しています。

 これまでイラク国内での米英占領軍などへの襲撃事件を見ると、部隊が移動している途中での発生が目立っています。輸送ヘリの撃墜や車列への待ち伏せ攻撃で、多くの兵士が死傷しています。オランダ軍もサマワで移動中に銃撃を受けています。自衛隊が武器・弾薬や兵員の輸送を行うことは、極めて大きな危険が伴います。

 このほか、「医療」「建設」では、野戦病院の建設と負傷兵の治療などを挙げています。「保管」では占領軍の食糧、医薬品、装備品の保管も想定。「通信」では軍事情報の交換も含みます。

「非戦闘地域」の特定できぬまま

 首相と神崎武法公明党代表は九日の会談で、陸上自衛隊部隊の派兵は「治安状況を十分に見極めて」行うことを決めました。基本計画でも「治安状況の厳しい地域における活動については、状況の推移を特に注意深く見極めた上で実施する」としています。

 基本計画で陸上自衛隊の派兵地域について「(サマワを含む)ムサンナ県を中心としたイラク南東部」としたものの、「非戦闘地域」の特定が事実上できなかったことを示すものです。

 政府は「非戦闘地域」の設定について、憲法が禁じる海外での武力行使を避けるための「法的な担保」(石破防衛庁長官)としてきました。「非戦闘地域」を特定するため政府調査団も繰り返し派遣しています。それでも、政府は「非戦闘地域」を特定できないのです。

 そもそもイラクはいま、「全土が戦闘地域」(米占領軍のサンチェス現地司令官)というのが実情です。イラク南東部でも、アマラでの英軍襲撃で六人死亡、ナシリヤでのイタリア軍警察基地襲撃で十七人死亡などの事件が発生しています。「戦闘地域に自衛隊は送らない」というイラク特措法の建前からいっても、派兵は不可能なのです。

 治安状況の極度の悪化などイラク情勢の泥沼化の中、派兵反対の国民の声は急速に高まっています。各種の世論調査でも九割近くが反対または慎重な判断を求めています。一方、イラクの軍事占領が破たんに直面し、内外で孤立を深めるブッシュ米政権は自衛隊の早期派兵を要求。日本人外交官二人が殺害された直後も、ベーカー駐日米大使が「自衛隊はまもなく、派遣される」と圧力をかけていました。

 小泉・自公政権は、憲法も、国民世論も無視し、基本計画の決定によって対米公約である派兵の意思を鮮明にしたのです。まさに「派兵先にありき」です。

「殺し殺される」最悪の事態招く

 自衛隊の派兵される場所が「戦闘地域」であることは、基本計画が無反動砲や対戦車弾、装輪装甲車など、かつてない重武装を定めていることからも明白です。

 防衛庁は、自爆テロの疑いのある車両が宿営地などに接近してきた場合、無反動砲や対戦車弾で、侵入を阻止することを決めています。装輪装甲車も戦場での兵員輸送を目的にしており、「非戦闘地域」で活動するのなら不必要なものです。今回の装備は、自衛隊員が「殺し、殺される」(首相)という最悪の事態が起こる危険を示すものです。


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