日本共産党

2003年12月10日(水)「しんぶん赤旗」

小泉首相に憲法を口にする資格はない


 イラクへの自衛隊派兵の基本計画を閣議決定した小泉純一郎首相の記者会見を聞いて、耳を疑いました。「憲法改正」を国会で公言し、自民党総裁として〇五年までの改憲案づくりを指示した小泉首相が、こともあろうに日本国憲法前文を読み上げて、派兵の正当化をはかったのです。

 「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて…日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ」

 小泉首相はいいます。「まさに、日本国として日本国民として、この憲法の理念に沿った活動が国際社会から求められている」と。

 冗談ではありません。小泉首相は、この憲法前文に込められた日本国民の苦難の歴史をいったいどう考えているのか。アジア諸国を侵略して二千万人を超える犠牲者を出し、三百十万人もの日本国民が戦場で、本土空襲や広島、長崎への原爆投下で尊い命を失いました。自国の利益のみにとらわれ、侵略戦争に突き進んでいった日本、そんな過ちを絶対に繰り返さない、そのために「恒久平和主義」をもって「名誉ある地位を占めたい」と誓ったのが、憲法前文の精神です。

 日本はどうやって世界の恒久平和の実現に貢献するのか。憲法には、小泉首相があえて読み上げなかった大事な条文があります。小泉首相が就任以来、敵視してやまない第九条です。

 第一項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

 第二項 前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 戦争はしない、そのために軍隊は持たない−憲法は、こうした徹底した平和主義を貫くことによって、世界平和への貢献を誓ったのです。

 全土が戦場と言われるイラクに武装自衛隊を派兵し、米英軍の不法な占領への軍事支援をおこなうことが、どうして「憲法の理念に沿った活動」などということができるのか。

 憲法を敵視し、改憲を公言しながら、憲法違反のイラク派兵を憲法の名で正当化する−憲法を冒−(ぼうとく)する、これほど恥知らずな態度はありません。この首相に憲法を口にする資格はなく、したがって国政を担う資格もありません。(木)


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