2003年12月10日(水)「しんぶん赤旗」

「首相は『基本計画』理解して提案したか疑わしい」

党首会談での一幕

　九日おこなわれた小泉純一郎首相と、野党党首との会談で、首相がイラク派兵の「基本計画」の解釈で訂正する一幕がありました。

　問題の個所は、自衛隊による米英占領軍支援となる「安全確保支援活動」の実施範囲。「基本計画」骨子では、「人道復興支援活動を実施する区域の範囲」と規定されていました。

　ところが、「人道復興支援活動」には自衛隊が行うものと文民（イラク復興支援職員）が行うものと二通りあって、実施区域も別。自衛隊がイラク南東部やイラク国内の飛行場施設と規定されているのたいし、文民は「イラク国内」全域です。両方にまたがる範囲であれば、イラク全土が実施範囲となります。

　党首会談では、日本共産党の志位和夫委員長が、このことを指摘。「自衛隊はイラク全土で安全確保支援活動ができるのか」とただしました。小泉首相は当初、「その通りだ」と明言したため、志位氏は「（占領軍支援の）実施区域が無限定ということで、重大だ」と指摘しました。

　そのまま会談が終わるかと思ったとき、首相に事務方が耳打ち。首相は会談終了間際、「安全確保支援活動の実施区域は、（イラク全土ではなくて）自衛隊が実施する人道復興支援活動の実施区域の範囲だけだ」と訂正したのです。

　自衛隊がどこで活動するかは、「基本計画」の基本中の基本のはず。それを事務方の耳打ちで訂正する首相にたいし、志位氏は「首相自身が基本計画を理解して提案しているかどうか疑わしい」と指摘しました。