日本共産党

2003年12月5日(金)「しんぶん赤旗」

大量破壊兵器

米から情報提示ない

国連査察委が批判


 【ワシントン3日遠藤誠二】米英によるイラク侵攻前まで同国内で大量破壊兵器の捜索をおこなっていた国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)は三日、安保理にたいする定期報告書を提出しました。報告書は、イラクで同兵器の捜索を続ける米国の調査グループからなんら情報の提示がないと、国連の捜索活動に背を向ける米国を批判しました。

 報告書は、この間、「公表された暫定報告の声明以外、米国が主導するイラク調査グループ(ISG)から捜索の結果についての情報はなかった」「実際の報告書はUNMOVICもしくは国際原子力機関(IAEA)には提出されなかった」として、UNMOVICの活動に米国が何ら協力していないことを批判しました。

 さらに同報告は、公表されたISGによる暫定報告の声明について、報告書や根拠となった証拠材料なしには「適切な評価をくだす立場にない」としました。しかし「一般的な印象として」、調査グループが発見したのは、戦争開始前のイラク政権からの報告や国連チームの活動から得られた資料に関連したもので、「UNMOVICにとって良く知られた事項」だったとして、米国の調査では新しい事実はほとんど発見されなかったと指摘しています。

 十月にISGを率いるケイ米中央情報局(CIA)特別顧問が米議会に提示した暫定報告は、大量破壊兵器を発見できなかったという結果になっています。

 UNMOVICは、米英軍による一九九八年のイラク大規模空爆以降、中断していたイラクでの査察再開にむけ一九九九年に発足。一昨年秋にIAEAとともにイラク国内での大量破壊兵器捜索を開始しました。しかし三月二十日の米軍イラク侵攻を前に同国内から退去。現在は収集した情報をもとに分析活動をおこなっています。


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