日本共産党

2003年12月3日(水)「しんぶん赤旗」

非政府組織が和平案

パレスチナ国家樹立で合意

スイスで調印式


 【パリ1日浅田信幸】イスラエルとパレスチナの非政府レベルで作成された和平案「ジュネーブ合意」の調印式が一日、スイスのジュネーブで行われました。多彩な国際的著名人など千人近い人々が見守りました。

 「合意」はスイス政府が仲介し、イスラエルのバラク前労働党政権のベイリン法相、パレスチナ自治政府のアベドラボ前文化情報相らが中心となり、二年間の秘密交渉を経てまとめました。両者はすでに十月半ばに署名をすませています。この日の調印式は、国際的な支持キャンペーンを開始するために催されました。

 イスラエルとパレスチナからそれぞれ二百人にのぼる議員や歌手、著作家、知識人、退役将校、ビジネスマンらが出席。米国のカーター元大統領、南アフリカのマンデラ前大統領(ビデオ参加)、ドイツのシュミット元首相、スペインのゴンサレス元首相らも出席し、フランスのシラク大統領はメッセージを寄せました。

 カーター元大統領は演説に立ち、「平和にとってこれほど有望な基礎を見ることはないだろう」「これに代わる唯一のものは暴力の継続でしかない」と和平案をたたえました。

 米、ロ、国連、欧州連合(EU)がまとめ、イスラエルとパレスチナの両当局が承認した中東和平ロードマップ(行程表)は行き詰まっています。「合意」の当事者たちは独自の和平案を「非公式だが、ロードマップを補完するもの」と位置づけ、交渉を通じた和平実現の希望をかきたてたいとしています。

 「合意」はパレスチナ国家の樹立とイスラエルとの共存をうたい、最大の対立点であったエルサレムの分割など最終解決を明記していることが特徴です。パレスチナ難民の帰還権についてはパレスチナ国家とイスラエルへの帰還、第三国にとどまる三つの選択肢が盛り込まれています。ただ、イスラエルへの帰還者の数はイスラエルが決定権を有するとしています。

 イスラエル国内では、二百万部を超えるパンフが郵送で各戸に届けられつつあります。郵便制度が機能しないパレスチナでは、地方紙が相次いで合意内容を掲載しました。

 これに対して和平に後ろ向きのシャロン・イスラエル首相は、「(合意は)イスラエルにとって有害であり、困らせるものだ」と真っ向からこれを拒否。アラファト・パレスチナ自治政府議長は、暗黙の支持を与えていると伝えられますが、ハマスなど過激派は、「合意」が難民の帰還権を放棄しているとして「裏切り」と厳しい批判を展開しています。


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