日本共産党

2003年12月1日(月)「しんぶん赤旗」

日本人外交官殺害

米軍制圧後も激しい戦闘

ティクリット、死亡事件相次ぐ


 日本大使館員二人が殺害されたイラク北部のティクリットでは、占領米軍当局が四月十四日に「制圧」を宣言した後も、米軍とそれに反発する武装勢力との間で激しい戦闘が続いており、米兵が死亡する事件も頻繁に発生しています。

 米軍は五月七日、ティクリットの知事にフセイン時代に一時投獄されていたといわれる元イラク軍将校のジャブリ氏を任命しました。

 また、旧フセイン支持勢力の鎮圧作戦を強化し、六月十七日には、イラク北部のティクリットやキルクークで三十六回の奇襲作戦を実施し、二百五十五人を拘束したと発表しました。

 しかし、ティクリットとその周辺での米軍への攻撃は止まず、マイヤーズ米統合参謀本部議長は七月二十九日、訪問先のインドのニューデリーでティクリットに至るバグダッド北方地域について「状況は悪く、まさしく交戦地帯」との認識を示していました。

 十月二十五日には、ティクリット西方で米軍のヘリコプター、ブラックホークがロケット弾で撃墜され、米兵五人が負傷しました。

 十一月に入ってからも七日には、近郊で米軍ヘリが撃墜され、米兵六人全員が死亡し、ティクリットの米軍基地には迫撃砲弾三発が撃ちこまれました。

 米軍は「鉄のハンマー」作戦と名づけた武装抵抗勢力への鎮圧作戦を強化してきましたが、十七日には、作戦中に米兵二人が死亡しています。

 ティクリットは、イラクの首都バグダッド北方約百五十キロの都市。フセイン元大統領の出身地で、元大統領が重用したイスラム教スンニ派が住民の多数を占め、バグダッドとその西方ラマディとを結ぶ「スンニ派三角地帯」の北限。駐留米軍への反感と旧政権への支持が強い地域です。


イラクの推移と主な事件 (現地時間)

4月

  9日 バグダッド陥落。フセイン政権崩壊

5月

  1日 ブッシュ米大統領が戦闘終結宣言

8月

  7日 バグダッドのヨルダン大使館前で爆弾テロ、17人死亡

 19日 バグダッドの国連事務所で爆弾テロ。デメロ特別代表を含む23人死亡、負傷者の中に日本人1人

 29日 シーア派聖地ナジャフで自動車爆弾テロ、イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)の最高指導者ムハマド・バクル・ハキム師を含む80人以上死亡

10月

  9日 バグダッド北東部のイスラム教シーア派居住区の警察署で自爆テロ、自爆犯2人を含む10人死亡

 26日 ウルフォウィッツ米国防副長官が滞在していたバグダッドのホテルにロケット弾。米国人1人死亡

 27日 バグダッドの赤十字国際委員会(ICRC)事務所付近などで連続爆弾テロ、35人死亡、230人負傷

11月

  2日 バグダッドの国際空港に向かっていた米軍ヘリがファルジャ南方で撃墜され、米兵16人死亡

  7日 ティクリットで米軍ヘリが墜落、6人全員死亡

 12日 南部ナシリヤのイタリア軍警察駐屯地に自爆攻撃。イタリア人19人を含む28人死亡

 14日 南部ウムカスルで邦人男性が負傷したことが判明

 15日 モスルで米軍ヘリ2機が墜落、17人死亡

 18日 バグダッドの日本大使館付近で発砲事件

 21日 バグダッドの2つのホテルと石油省にロケット弾攻撃、少なくとも3人負傷

 22日 バグダッド北方のバクバとハンバニサアドの警察署で自動車爆弾テロ、15人死亡。民間貨物機がバグダッド国際空港離陸後にミサイル被弾

 26日 バグダッドのイタリア大使館に攻撃、建物の一部が損壊

 29日 ティクリット南郊で日本大使館員の男性2人が殺害される。バグダッド南方でスペイン情報機関員の車列に攻撃7人死亡


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