日本共産党

2003年11月28日(金)「しんぶん赤旗」

米軍の世界規模での再編計画

先制攻撃戦略を推進


 ブッシュ米政権は二十五日、米国を含む世界規模での米軍再編のため、同盟国との本格的協議を開始すると発表しました。これはイラク戦争で発動された同政権の先制攻撃戦略を強行的に推し進めるため、それにふさわしい米軍の一部配置換えをしようというものです。

 在外駐留米軍の再編は、ネオコン(新保守主義者)が中心になって結成した政策集団である「新しいアメリカの世紀のためのプロジェクト(PNAC)」が二〇〇〇年九月に発表した報告「米国国防の再構築」で重点課題の一つとして提起していました。

どこでも即応

 ブッシュ政権の軍事戦略の主要な青写真の一つとなった同報告は、次のように述べて、核戦力の再強化や軍事予算増額など九つの優先課題の一つとして米軍再配置を挙げていました。

 「恒久的に基地をおく戦力を南東欧州や東南アジアに移動することにより、および、東アジアで増大する米国の戦略的懸念を反映するように海軍部隊の配備を変更することにより、二十一世紀の戦略的現実に対処するように米軍を再配置する」

 二十五日の米国防総省・国務省高官の背景説明でも述べられているように、これは(1)米ソ冷戦時代から大きく変化していない在外米軍を再編し(2)テロなどの「新たな脅威」に対処するという両面の目的をもっています。

 イラク作戦などでドイツはじめ在欧米軍部隊を遠距離から派遣する無駄をなくし、紛争発生可能地域の近辺に米軍を前方配備したり、輪番制で展開させるというものです。現に在欧部隊の移動やジブチなどアフリカ諸国への新規配備は既に始まっています。全世界のどこで先制攻撃戦争が必要になろうとも、それに即応できる態勢を構築しようというのです。

 日本周辺についてPNAC報告は、先の引用部分からも明らかなようにアジアを戦略的に重視しています。在日米軍に関しては、「在沖米軍基地が日本でますます議論の的になっている」ことを認めつつ、「米国が北東アジアの安全の保障者としてとどまるなら、(日本に)前方基地をおく米軍の維持は不可欠だ」と述べています。

沖縄を離れず

 ロドマン米国防次官補(国家安全保障担当)は六月二十六日の下院外交委アジア太平洋小委員会の公聴会で、▽欧州と違いアジアでは地域統合機構がまだ未発達で米国との二国間の安全保障条約が重要な役割を果たしている▽アジア太平洋地域の情勢は欧州より傷つきやすく地政学的に流動的だ▽米軍の前方配備には「同盟諸国や友好諸国が求める米国の誓約」に応えるという政治的機能もある――と述べました。

 その上で日本に関して、沖縄の「地元住民の負担を減らし米側の柔軟性を拡大する」ような「小規模な調整」があるかもしれないが、「そこから離れることは予期していない」と明言しました。

 二十五日の背景説明でも米高官は、ロドマン証言とは「違う印象は与えたくない」と発言。同証言を否定しませんでした。(坂口明記者)


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp