2003年11月26日(水)「しんぶん赤旗」
インドとパキスタン両国の国軍は二十五日、カシミールを含む国境地域で現地時間の二十六日午前零時を期して停戦することで合意しました。両国の公式停戦は、インドが実効支配するジャム・カシミール州でイスラム過激派が武装反乱活動を始めて以来初めてです。
インド外務省は二十五日の声明で、「インド、パキスタン両国の軍参謀総長は二十五日、毎週おこなわれる協議のなかで本日深夜に発効する停戦を監視することで合意した」とのべています。
一方、イスラマバードではパキスタン外務省スポークスマンが、両国の国軍は二十五日深夜から始まる無期限の停戦に合意したことを確認したとのべました。
パキスタンのジャマリ首相は二十三日のテレビ演説で、イスラム教のラマダン(断食月)終了に伴う祝日イードの開始に合わせ、一方的停戦に踏み切る方針を発表。これにたいしインド政府は二十四日、この措置を歓迎し、恒久的な停戦はパキスタン側がジャム・カシミール州へのイスラム過激派の浸透を終わらせるか否かにかかっていると強調していました。
カシミール地方はイスラム教徒が多数を占めますが、一九四七年の英国からの独立以来、インド、パキスタン両国は双方が領有権を主張、これをめぐり二度も戦争をしてきました。一九七二年の停戦ラインで実効支配線が引かれてきました。
このうちジャム・カシミール州では、インドの支配にたいして同地の奪還を主張するイスラム過激派が武装反乱活動を始め、インド国軍との衝突で六万五千人以上が死亡しています。
インド側は、イスラム過激派はパキスタンの国軍とスパイ組織によって訓練され資金援助を受けていると非難、パキスタン側は否定しています。その一方で、パキスタン政府は、インド支配からの解放を求めるイスラム過激派の目的は支持するとしてきました。