日本共産党

2003年11月26日(水)「しんぶん赤旗」

小泉首相と安倍幹事長

国会で公然と改憲論議

否定された議論もちだす


 小泉純一郎首相と自民党の安倍晋三幹事長が、二十五日の衆院予算委員会で、憲法改悪の意思を明確にした問答を繰り広げたことは、総選挙での改憲「公約」を踏まえ、国会に公然と改憲論議を持ちこみ、改憲の方向を既成事実化するものとして重大です。

 本来だれよりも憲法を尊重すべき立場にある首相が、政権党の幹事長と改憲問答を平然と行ったその背景には、総選挙で民主党が改憲「公約」をかかげたことがあったことはまちがいありません。この日の予算委でも、安倍氏の質問に民主党席からは抗議や批判の声はあがりませんでした。

 しかも、連合占領軍が押しつけたなど安倍氏があげた改憲の「三つの理由」なるものはいずれもすでに批判され尽くした議論です。

 制定過程をめぐっては、衆院憲法調査会でも議論になりましたが、すでに現憲法が五十年以上にわたり日本社会に定着し主権者国民の支持を受けてきたことは、改憲派議員も認めざるを得なかったことです。改憲派の近藤基彦議員(現自民党)も「憲法制定過程に関して、『押しつけ』その他の理由で憲法を改正すべきとする立場に立って考えるべきではない」(〇〇年八月三日)とのべています。「押しつけ」憲法論は否定され、「制定過程に問題があったからというだけで憲法を変えよ」という議論は意義がとぼしいとの認識が広がったのです。

 「時代に適合できない条文もある」などという安倍氏の主張が、憲法九条を指しているのだとしたら、これもまったく成り立ちません。

 米英の無法な先制攻撃とその後の軍事占領支配はイラク情勢の「泥沼化」をもたらしています。イラク国民の主権を回復するために国連を中心とした枠組みづくりこそ求められており、日本はいまこそ九条にもとづいた平和外交に乗り出すことこそ求められています。

 九条にもとづく平和外交という本来もっとも「創造的な活動」をさぼりつづけたあげく、九条改悪でアメリカにつき従って無法な戦争への協力に突き進むことがどうして「創造的精神」の発揮などといえるのでしょうか。

 またプライバシーなどの「新しい人権」が憲法に明記されていないことを指しているのだとしたら、これも自民党に「適合」うんぬんを主張する資格はありません。防衛庁リスト問題に見られる国民のプライバシー侵害、公害やムダな道路、ダム、基地建設による環境破壊など、自民党政治が国民の人権を侵害してきた例は枚挙にいとまがないからです。

 安倍氏は、小泉首相とのやりとりで、国民のあいだに改憲の雰囲気づくりを狙ったのかもしれません。しかし、国民はその論拠のとぼしさを見ぬくことでしょう。(中祖寅一記者)


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