日本共産党

2003年11月20日(木)「しんぶん赤旗」

悪政具体化 国民と矛盾も

第2次小泉内閣

名実ともに自公連合


 十九日に衆参両院で指名を受けた小泉純一郎首相のもとで、第二次小泉内閣が発足しました。自民・公明の二党連立政権によって、悪政の具体化を推進していく布陣です。しかし、選挙中に正面からの論争を避けていたイラク派兵や年金改悪、さらには消費税増税や憲法改悪といった今後の悪政計画の一方で、足元はグラついています。


イラク 年内派兵めぐり二転三転

 イラクでは、米軍とその同盟軍への襲撃が相次ぎ、軍事占領の泥沼化がだれの目にも明らかです。にもかかわらず、小泉政権は、あくまで自衛隊の派兵に執念をみせています。

 総選挙直後に来日したラムズフェルド米国防長官と会談した石破茂防衛庁長官は「自衛隊の能力を活用したふさわしい責任の履行を早期に実現したい」(十五日)と表明。政府も、自衛官を含む専門調査団を派遣しました。

 しかし、イラク情勢の深刻化で、小泉政権が狙う年内派兵の方針は、二転三転しています。

 福田康夫官房長官が会見で「年内に派遣する考えは、しっかり持っている」と強調した十二日、自衛隊の派兵先にあがっていたイラク南部のサマワに近いナシリヤで、イタリア軍への襲撃事件が発生。

 翌日には「自衛隊が十分活動できる状況があれば、いつでも(派遣)できるが、そういう状況になっていない」とのべ、マスコミから「政府 二転三転」と指摘される事態にまで追いこまれています。

 イラク特措法の「戦闘地域にはいかない」という建前の虚構ぶりは、いよいよ明らかになっています。「日本はあてにしていない」(ウルフォウィッツ国防副長官)と不満を表明する米側の突き上げと、七割以上が派兵を支持しないという国民世論(日本テレビの調査)のはざまで、小泉内閣の矛盾は深まるばかりです。

グラフ

年金改悪 政府も財界も方向一致

 小泉内閣は総選挙後に先送りしていた年金大改悪の具体化に手をつけ始めました。

 十七日には厚生労働省が、厚生年金の保険料を二〇二二年度には年収の20%にまで引き上げ、給付は現役世代の50%を「下限」に引き下げる年金改悪案を発表。年末までに政府案をまとめるとしており、選挙が終わるや否や改悪計画が動き出した形です。

 厚労省案に対して、日本経団連、経済同友会など経済四団体は十八日、企業負担が重くなるとして、厚生年金保険料の年収20%までの引き上げに「絶対反対する」とした共同声明を発表。政府部内からも、「20%は限りなく上限に近い」(谷垣禎一財務相、十八日の記者会見)などの声があがるなど、改悪計画を進める小泉内閣の足もとで異論が噴出しています。

 何よりも、年金改悪で負担増、給付減を強いられる国民との間で大きな矛盾にぶつかることは避けられません。

 それというのも、厚労省案も財界案も財務省案も、保険料引き上げ、給付引き下げという基本方向は同じだからです。

 十八日の経済財政諮問会議で、日本経団連の奥田碩会長らは、保険料を16%程度にとどめること、給付水準については、厚労省案よりも下げて、現役世代の年収の45―50%程度に抑制することを要求。谷垣財務相も「給付水準の引き下げというのは避けて通れない」とのべています。

道路公団 藤井疑惑の解明棚上げ

 小泉内閣は、総選挙が終わっても藤井治芳前日本道路公団総裁の発言を発端とする「疑惑」の解明を棚上げにしたままです。一方で、財界出身の近藤剛参院議員を新総裁にすえ、民営化を急ごうとしています。

 石原伸晃国交相は十月、藤井前総裁が高速道路建設や国有地の払い下げなどにかかわる不正・疑惑を政治家のイニシャルまであげて指摘したと、テレビ番組で明言しました。しかし国交相は疑惑が特定できないとして、調査さえ拒否。最近では疑惑の存在を否定しはじめました。

 総選挙公示直前のテレビ討論で、小泉首相は「選挙が終われば国会が始まるから国会の場で議論していけばいい」とのべ、神崎武法公明党代表も「静かな環境のときに国会でしっかり議論をすべきだ」と真相解明を約束していました。

 ところが、与党は特別国会の日程で首相の所信表明演説や代表質問などを拒否し、藤井問題を解明する姿勢を見せません。真相解明にふたをしたまま、民営化を急ごうとしています。

 しかし、近藤氏が特別顧問を務めていた経団連は、民営化後の新会社が建設しない高速道路であっても「着実に整備すべきである」(〇二年十一月十九日)との立場。公団の民営化でムダな高速道路の建設に歯止めがかかる保証はありません。

改憲、消費税増税へ動き

 総選挙で明らかになった憲法改悪と消費税増税という今後の二大悪政計画が総選挙直後すでに動き出しています。

 総選挙で憲法改悪を初めて公約した自民党は十七日の保守新党との合併合意で「新憲法の制定を目指す」と明記。

 十八日には、小泉首相が「憲法調査推進議員連盟」会長の中山太郎衆院議員と会談し、憲法改悪のために必要となる「国民投票法案」の早期成立について「大切なこと」と、来年の通常国会での成立へ意欲を示しました。

 消費税問題では、選挙が終わったとたんに与党は「社会保障給付全体は二〇二五年に百七十六兆円に増えていくので、基本的に消費税でみていくしかない」(自民党安倍晋三幹事長)、「将来に向かって社会保障全般には消費税という形で対応すべきという判断をしなければいけないというときがくるかもしれない」(公明党東順治国対委員長)など、消費税増税発言を繰り返しています。

 政府の税制調査会は十八日の総会で、来年度の税制「改正」の答申の骨格をまとめ、基礎年金の財源確保策は、将来の消費税率引き上げを軸に検討を進めることを確認しました。

 小泉内閣・自民党は憲法改悪も消費税増税も、正面からの論争を避けましたが、今後具体的に踏みこめば国民の大多数との矛盾が深まることは間違いありません。

 日本共産党は二つの悪政計画を先駆的に告発した党として、平和、暮らしを守る世論を結集し、草の根の多数派結集に全力をあげます。


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