2003年11月19日(水)「しんぶん赤旗」
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十月下旬に今年最大の下落幅を記録した日経平均株価が、週明け十七日に一万円の大台を割り込み、小泉内閣・与党や市場関係者などの「株高期待」に冷や水を浴びせました。一夜明けた十八日付の商業紙には、「景気回復に『木枯らし』」「調整、長期化観測も」「上げ相場終わりか、調整か」の見出しが躍ります。揺らぎはじめた東証株価の周辺をみると−−。(三浦照夫記者)
米国株価頼み、外国人投資家頼みの危うさ、もろさがでた株価急落です。
米株価はイラク戦争・占領統治の泥沼化、財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」の拡大、雇用不振などを背景に調整色を強めています。十七日には三日続落して三週間ぶりの安値をつけ、先行き懸念が広がっています。
そのため、今後も米株価の動向が東証株価に重くのしかかってくるものとみられています。
また、今年五月以降の東京市場の「株高」を主導してきた外国人投資家、とりわけその主力とされるヘッジファンド(国際的投機集団)が売り姿勢に転じたと指摘されています。
景気の「持ち直し」がいわれ、株価にも「ミニバブル」と表現されるような実態をはるかに超えた強気の見方が支配的だった東京市場。ここへきて、経済・景気の先行きを冷静に判断しようという動きがでてきたといいます。
いま強調されている「回復への動き」にしても、輸出で利益をあげられる大企業・製造業を中心としたものです。「自律的景気回復」のカギをにぎる個人消費にも、日本経済を支える中小企業にも、「回復の動き」「持ち直しの動き」は波及していないというのが実態です。
景気の先行きへの警戒感が株価急落という形で鮮明になったところに、日本の実体経済の脆弱(ぜいじゃく)さ、ゆがみが表れているといえます。
日経平均株価が一万円割れしたことについて、小泉首相は「株は上がる時もあれば下がる時もある」(十七日)と述べました。
総選挙では、小泉「構造改革」の「芽」の表れの一つに株高をあげていました。その勢いはどこへやら、株価が低迷・下落したころの釈明と同じ表現に戻った観があります。商業紙の見出しにあったように、「上げ相場終わり」「調整、長期化」となったら、また「株価に一喜一憂しない」とでもいうのでしょうか。
「成果」を強調する小泉内閣に、頼みの株価が“しっぺ返し”をする事態も予想されます。