日本共産党

2003年11月14日(金)「しんぶん赤旗」

米政権が緊急協議

占領政策手直しか

“イラクは低強度紛争地”


 【ワシントン12日浜谷浩司】急きょワシントンに戻ったイラク占領米当局のブレマー行政官は十二日、ブッシュ大統領はじめ米政権幹部との二日間にわたる緊急協議を終えました。詳細は不明ですが、ブッシュ政権が占領政策の転換を迫られる可能性も指摘されています。


 ブレマー氏は大統領との会談後、記者団に、イラクでは「低強度紛争」(世界戦争や核戦争、地域紛争より強度の低い戦争)が続き、安保理決議一五一一に基づき憲法制定・選挙実施の日程を定める期限の十二月十五日に向けて「きわめて緊迫した時期」を迎えていると発言。イラクへの主権移譲を加速化するため、イラク統治評議会との協力を続ける意向を示しました。

 パウエル国務長官は同日、「米国はイラク新政府の法的根拠に関する作業を加速したいと考えている」と述べました。

 十二月十五日までの新憲法制定と選挙の時間表提出は危ぶまれています。

 ブッシュ米政権はこれまで、新憲法制定と選挙を行い、イラクが政権を引き受けられる条件を作ることが先決だと主張。暫定政権の樹立による主権の早期移譲を求めた、欧州諸国や国連当局の声を退けてきました。

 しかし、米メディアによると、米中央情報局(CIA)は、治安悪化で占領軍を撃退できるとの期待がイラク国民の間に強まり、抵抗への支持を広げている、との報告書をまとめたといいます。米国のイラク戦争・占領の失敗がますます鮮明になっています。

 イラク統治評議会で「権限がなければ事態は進まない」と対米批判が強まるなど、政治面も米国の思惑通りに動いていません。同評議会のタラバニ議長は同日、治安回復のためにも暫定政権への移行が必要だ、とする考えを示しました。

 国連決議やマドリードでの復興支援国会議にもかかわらず、頼みの国際支援は、トルコの派兵撤回や、国連と赤十字国際委員会の現地撤退にみられるように、一段と後退しています。

 それでも、ブッシュ大統領は、「ここで引いたらテロリストの思うつぼだ」と強気の発言を繰り返しています。

 国連のエッカード報道官は十二日、イタリア人を狙った自爆テロや米政権の緊急協議に関連して、アナン事務総長は主権の早期移譲が必要と考えていると強調しました。主権移譲の時間枠が明らかになれば、現地の緊張緩和に役立つとの見方に変わりないと述べました。

 ワシントン・ポスト紙によると、新憲法の起草機関や主権を引き受ける「行政機関」を六カ月以内に選出することや、統治評議会への主権「移譲」などが、選択肢としてあがっているといいます。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp