日本共産党

2003年10月30日(木)「しんぶん赤旗」

東京湾横断道路

財界・ゼネコンが発案 発注 受注

自作自演の大もうけ


 日本道路公団がかかえる「ムダ」「大赤字」の象徴が建設費一兆五千億円の東京湾横断道路。この工事で中曽根内閣の「民間活力導入」路線のもと、“自作自演”の大もうけをしてツケを国民に回したのが財界・ゼネコンです。計画自体が財界主導。発注主体にもゼネコン派遣社員が入り、出身ゼネコンに発注していました。総選挙ではこうした財界・大企業優遇政治の改革が問われています。


事業主体に社員派遣

赤字は国民のツケ

表
表

 東京湾横断道路は、一九六一年に財界の提言機関だった「産業計画会議」が構想を打ち出し、これを受け、建設省(当時)が六六年から調査を開始。

 七九年に大規模プロジェクト関連の大企業を総結集したJAPIC(日本プロジェクト産業協議会)が結成され、横断道建設を強力に推進しました。

23社30人出向

 建設事業は中曽根内閣の「民活」路線で、八六年十月に設立された半官半民の第三セクター、東京湾横断道路株式会社(TTB)が主体。民間の主要株主には、新日鉄、東京電力、日立製作所、トヨタ自動車や大手都銀など、大企業が名前を連ねました。

 しかも会社の技術部や工務部などにはゼネコンなど建設関係二十三社の三十人が出向(表上)しました。

 出向社員を派遣したゼネコンはすべて、横断道路工事の受注に成功。六つのトンネル工事の落札率(予定価格と落札価格の割合)がすべて99・7%という談合ぬきにはありえない入札がおこなわれました。

 ゼネコン各社は受注後も設計変更を繰り返し、契約金額を膨らませました。

 清水建設、三井建設などの共同企業体が受注した木更津人工島東工区などは、最終契約額(二百五十一億六千九百万円)が当初契約額(百五十八億五千万円)の58・8%増という状況です。

多額の献金

 問題なのは巨費を投じた工事で財界・大企業が大もうけした一方、完成した横断道路は日本道路公団に引き取らせ、大赤字の責任は財界・大企業ではなく、すべて公団に回した仕組みです。

 この仕組みは、「東京湾横断道路建設特別措置法」(八六年成立)でつくられたもの。

 自民、公明、民社の各党とともに、当時、社民連所属議員だった菅直人民主党代表も賛成しています。

 道路公団総裁を解任された藤井治芳氏は法制定当時、建設省道路局有料道路課長で、この事業を推進しました。

 また、横断道路工事を受注したゼネコンや鉄鋼大手は、多額の献金を政界におこなっています。横断道路が開通した九七年の一年だけをみても、自民党は四億八千万円、公明党も参加していた新進党(小沢一郎党首)にも九千万円の献金がありました。(表下)


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