日本共産党

2003年10月18日(土)「しんぶん赤旗」

主張

イラク占領支援

無法な戦争の陣営でいいのか


 小泉首相が米大統領との会談で、イラク占領への巨額の資金拠出や、自衛隊派兵の意向を表明しました。アメリカの派兵・資金要求に応じる国がほとんどない中で、日本だけが率先してやろうというのです。

 国連安保理は、統治権限のイラク国民への速やかな返還を求めるとともに、多国籍軍を容認する決議を採択しましたが、仏ロ独は軍隊も金も出さないと声明を出しました。

 小泉内閣が世界の大勢に逆らって、ブッシュ政権のいいなりになっている異常さが、改めてうきぼりになっています。

軍事同盟による誓約

 米国防長官は、安保理決議をうけて、「いくつかの国々によい影響を与える」と各国の派兵に期待を示しました。

 しかし、小泉首相の約束は、国連決議ができたからというものではありません。大統領が今回の訪日に先立ち「彼は約束を守ると信じている」と駄目押しをしたように、日米安保を「地球的規模の軍事同盟」と確認した五月の日米首脳会談での誓約の実行です。

 小泉内閣が無法なイラク戦争を支持したつけとして、日本がブッシュ政権の単独行動主義の陣営に組みこまれ、アメリカの要求から逃げられないことを示しています。

 見落としてならないのは、自衛隊派兵も資金拠出も、イラク復興支援ではなく、米英の軍事占領に加担するものだということです。

 そのことは、安保理決議が占領軍を多国籍軍に衣替えすることに言及してはいても、米軍撤退とイラク国民への政権移譲の期限を明確にしておらず、米軍主導の占領が続くことに変わりがないことで明確です。

 アメリカが新たな決議を求めたのは、無法な侵略戦争の必然的結果として占領が泥沼化し、軍事・財政両面で重荷が大きくなったからです。

 しかしアメリカが米軍主導の占領に固執している以上、国連事務総長も「占領が続く限り、抵抗は拡大する」と批判したように、イラクで泥沼の戦争と混迷が続くことはさけられません。

 自衛隊派兵など日本の占領加担が、イラク復興に役立たないことは明らかです。それどころか、米軍へのイラク国民の憎悪と抵抗が自衛隊にもむけられることになります。

 民主党などは、占領支援の派兵に反対する一方、国連決議があれば多国籍軍に派兵してもよいとしてきましたが、アメリカの要求に応じた派兵であれ、多国籍軍への参加であれ、自衛隊派兵が武力の行使を厳しく禁じた憲法に違反することは変わりありません。

 イラクが平和を回復し復興を進めるためには、一日も早く軍事占領をやめ、イラク国民の政権をつくることが欠かせません。

 そうしてこそ、米軍と武装勢力の泥沼の抗争から脱却して治安を回復し、国連の人道援助や復興支援を軌道にのせることができるのです。

いずれの道を選ぶか

 日本は、アメリカいいなりに自衛隊を派兵し、世界の平和秩序を破壊するアメリカなどごく一部の国々の陣営にくみするのか、それとも、イラク国民による国づくりと国連中心の復興を支援する道を選ぶのか。

 この選択は、これからの日本の進路にもかかわる重大なことです。

 アメリカの派兵要求をきっぱり断り、憲法の定める非軍事・平和の方法で世界の国々と協力することこそ、国際社会が日本に求めるものであり、そこに二十一世紀に進むべき道があることは明らかです。


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