日本共産党

2003年10月17日(金)「しんぶん赤旗」

ダイオキシン テレ朝の報道

“重要部分の真実証明ない”

最高裁が二審破棄 農家側が実質勝訴


 テレビ朝日系の「ニュースステーション」で一九九九年、埼玉県所沢市産の野菜から高濃度のダイオキシンが検出されたと報道され被害を受けたとして、農家二十九人が同社に損害賠償などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)は十六日、農家側敗訴とした二審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻しました。同小法廷は「報道の重要な部分が真実と証明されたと言えない」と判断し、実質的に農家側の逆転勝訴となりました。

 テレビ報道による名誉棄損の成否について同小法廷は「登場者の発言やテロップなどの文字情報だけでなく、放送全体から受ける印象なども総合的に考慮すべきだ」として、初の判断基準を示しました。

 同小法廷は「視聴者は音声や映像で次々と提供される情報を瞬時に理解することを余儀なくされ、内容を再確認できない。一般視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準にすべきだ」などと指摘しました。

 その上で、テレビ朝日の報道が「ホウレンソウを中心とする所沢産の野菜全般が高濃度の汚染状態にある」との内容なのに、裁判でテレビ朝日側が証拠としたのが白菜一個だったことから「わずか一個の測定結果をもって、真実と証明されたと言えない」と指摘。名誉棄損の成否などについて審理を尽くすべきだと判断しました。

 問題になったのは九九年二月一日の特集。民間調査機関のデータを基に、所沢産の野菜から高濃度のダイオキシンが検出されたと報道。翌日からホウレンソウなど野菜の価格が暴落しましたが、調査で数値が高かったのはせん茶で、テレビ朝日は野菜と誤解したまま報じていました。


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