2003年10月11日(土)「しんぶん赤旗」
「さあ、総選挙だ」。十日、衆院が解散し、十一月九日の投票日にむけ熱いたたかいに突入しました。「自民対民主」の偽りの対決軸が宣伝されるなか、真の改革の道を示す日本共産党は、候補者を先頭に党支部、後援会がいっせいに街頭に。日本列島の一日を追いました。
午後1時 今国会最後の衆院本会議を告げる本鈴。多数の報道陣が議場入り口につめかけるなか、議員が続々入場。
午後1時5分 「日本国憲法第七条により衆議院を解散する」。綿貫民輔議長が解散詔書を読み上げると、議場には万歳の声、拍手。
解散後の午後1時20分 小泉純一郎首相が自民党両院議員総会に出席。「政権の命運をかけて選挙にのぞもう」と気勢をあげました。同じ時間、民主党も両院議員総会。菅直人代表は「死力を尽くしてがんばりぬく。乾坤一擲(けんこんいってき)のたたかいを」とげきを飛ばしました。
日本共産党は、総選挙勝利めざす国会議員団決起集会を開き、不破哲三議長、志位和夫委員長があいさつ。穀田恵二国対委員長の「国民のみなさんと団結し、躍進・勝利を勝ち取ろう」との音頭で、「ガンバロー」の唱和が響きました。各議員は、「新しい仲間を連れて戻ってこよう」と、握手をかわしながら、ただちに地元での第一声に向かいました。
午後2時2分 国会内で臨時閣議。総選挙の日程を二十八日公示、十一月九日投票と決めました。閣議終了後、小泉首相は報道各社のインタビューに「(解散は)この国会が開会されてから、時期を見ながら判断していこうと心積もりはしていた」。
午後3時55分 今期で議員引退した高鳥修元総務庁長官は、衆院議員会館から地元へ帰り支度。「戦争を体験したわれわれの世代が今回限りで多く引退する。戦争の恐さを知らない議員が、いけいけどんどんで危い道へ進むのに、ブレーキかける議員が少なくなるなあ…。自民党も民主党も若い議員の戦争観は変わらない」と語りました。
午後1時6分 札幌市中心街パルコ前。快晴。気温19度。「衆院解散」の報が入ると、演説中の横山ひろ子道一区候補も「みなさん、いま解散されました!」とマイクに力がこもりました。
「いまの暮らし、これからの暮らしの不安をなくしたい。その願いを、日本共産党へ託してください」──。
小田一郎比例候補は演説のなかで「民主党は憲法改定でも消費税増税でも、自民党と同じ方向を向いていると率直にいいたい」。
午後2時 「総選挙は、政治を変える絶好のチャンスです」。わたなべ隆夫千葉七区候補と中村たか子松戸市議、党馬橋支部の人たちは松戸市内の住宅街で街頭宣伝。
買い物客や道行く人から「頑張ってください」と声がかかり、車からも手が振られます。
店から出てきた牛乳販売店主から「絶対負けちゃだめだよ。あと三倍頑張って勝たなくちゃ」と激励をうける場面も。
解散後、新幹線「あさま521」に飛び乗った木島日出夫比例候補は、午後3時55分に長野県の上田駅に降り立つと、待ち構えていた車で、上田市繁華街に急行。
直ちにマイクを握って、生々しい解散の様子を語ると、通行人の足がとまり、車から身を乗り出すようにして聞き入る人も。「みなさん、地方政治の新しい政治の流れを、今度は国政に広げようではありませんか」。
午後6時 東京・新宿駅東口で、解散第一声の街頭演説。不破哲三議長、志位和夫委員長がそろって訴え。
午前8時 全国労働者日本共産党後援会が東京・新宿駅西口で街頭宣伝。熊谷金道代表委員(全労連議長)らが次々とマイクを握りました。
「若者に仕事を」の垂れ幕をかかげ、腕章をまいた後援会員七十人が「日本共産党後援会です」と元気に声をかけてビラを配布。足を止め後援会員と対話して大きくうなずく女性の姿もありました。
午前11時 東京都足立区の東綾瀬地域。
「いよいよ総選挙です。共産党は自民などの憲法大改悪、消費税大増税の計画をくいとめるために力をつくします」
日本共産党東綾瀬支部の岩沼フミ子さん(70)と三浦孝保さん(67)は、十月に入って連日ハンドマイク宣伝をしてきました。この日は国会解散をうけ午後五時まで、支部の担当地域全域、いつもの三倍の広さをまわってつじつじで訴えました。
午前11時20分 大分市の路地裏。自転車にのった中年の女性が、党東大分支部のハンドマイク宣伝隊に「いよいよ選挙ですね。がんばって」と声をかけていきます。
同市では前日、自民党の幹事長が年金問題をとりあげて街頭演説しており、党員のマイクをにぎる手も力が入ります。
午後1時30分 鳥取市。「今度の選挙は自民党政治の古い枠組みを続けるのか、それから抜けだすのかが問われます」。党醇風支部の市谷尚三支部長、太田富代さんらの声が響きました。夜の上田耕一郎党副委員長と中林よし子比例候補を迎えた演説会への参加と、日本共産党への支持を呼びかけました。
この日、自民党も宣伝カーを出動。公明党もハンドマイク宣伝。各党がいっせいに動き出しました。
午後1時 東京・明治公園での全国中小業者総決起集会。「大増税阻止へ、政治の改革じゃ」などのゼッケンやのぼりをもって、全国から八千人が結集しました。全商連の市川喜一会長は「総選挙で自民党、公明党への審判を」と訴え、増税と改憲のスピードを競う民主党を批判しました。
午後1時30分 サラリーマンらが一休みする東京・JR新橋駅前。
事務所が近くにあるというアルバイトの男性(75)は、解散の報に開口一番「小泉さんじゃだめだね」。医療費のため年金だけでは足りず事務を手伝っています。「老人は年金を減らされて、どう暮らしていくのかお先真っ暗ですよ。しっかりした野党に期待するよりないね」
民主党は年金の財源に消費税を、といっていますが──。「反対です。財源は軍事費とかの予算を減らさなきゃだめ。それにリストラやった企業が助かる税の仕組みじゃだめ。消費税は、なんとか減らさないと」
大阪から出張中の会社員・山本雅弘さん(48)は「民主党に期待する」と言いながら、「アメリカへの協力や自衛隊派兵よりも国内の問題に目を向けてほしい。雇用対策をきちんとしてほしい」と強い口調で話しました。
人材派遣会社に勤める三井善裕さん(43)=埼玉県=は「政治には失業対策と景気回復を望みます。よどんだムードを変えてほしい」と変化を期待。「埼玉の補選では民主か共産か」と迷っています。
午後1時45分 国会近くのホテルで自民党の山崎派・旧加藤派(小里グループ)総選挙合同選対出陣式。両派所属の現職閣僚二人も出席、亀井善之農水相は「鉄の団結をもって勝ちぬこう」、谷垣禎一財務相は「山崎(拓・副総裁)、加藤(紘一・元自民党幹事長)の固い友情が今回、合同選対という形になった。選挙後は大きな政治の役割を果たさなければならない」。総選挙後に小泉政権を支えるため両派閥は合併する方向に。
午後2時10分 自民党橋本派の出陣式。派閥選対責任者となる片山虎之助前総務相は「負けられない選挙だ」。津島雄二同派事務総長も「二十一世紀、最初の総選挙だ。これからの国の形を決める重い選挙だ」と訴えました。
テレビ、カメラの放列の前で記念撮影。「選挙で苦しくてテレビに映りたい人は前の列に…」の声が。
午後3時 東京・新宿駅西口で公明党が解散後の第一声。主婦層を中心に、約二千人が集まりました。
神崎武法代表は、年金問題、実績宣伝と民主党批判を重点に訴え。年金問題で、支給開始年齢の繰り延べや保険料引き上げに触れて不安が広がっていることを認めましたが、自ら改悪に加担した責任には一言も触れません。民主党にたいし、基礎年金部分を税金でまかなうとしており、消費税は6%も上がると批判しました。
午後6時には民主党の菅直人代表が千葉・津田沼駅前で演説しました。