日本共産党

2003年10月1日(水)「しんぶん赤旗」

フジテレビにたいし

日本共産党が請求した

「訂正放送・謝罪放送」


 日本共産党が株式会社フジテレビジョンに請求した訂正放送と謝罪放送の全文は次のとおりです。

《訂正放送》

 放送法第4条に基づく訂正放送をいたします。

 フジテレビジョンで、平成15年9月12日夜9時からの時間帯に、「金曜エンタテイメント・完全再現!“北朝鮮拉致25年目の真実”」と題するテレビ番組を放送いたしました。この番組で、日本共産党の元秘書である兵本氏の拉致問題での取り組みを伝えるなかで、次のような趣旨の内容の放送をいたしました。

 すなわち、兵本氏は原告日本共産党の活動の一端を国会秘書として担っていたのだが、ナレーションで、国会「質問の内容を考えるのも兵本の仕事」とのべるなど、放送全体を通して、日本共産党では拉致問題の取り組みは兵本氏だけで、この問題での日本共産党の国会議員の質問も兵本氏がもっぱら準備したかのように描いた上で、ナレーションで日本共産党が兵本氏の「拉致問題での、政府・警察関係者との接触に疑問を持ち」「突然兵本は本部に呼び出された」と説明し、兵本氏役とその妻役の俳優に「党を首になるかもしれない」「拉致問題ですね」「あー」と会話をさせ、日本共産党が拉致問題での兵本氏の行動を妨害し、挙げ句の果てに、拉致問題を理由に兵本氏を除名し、党から排除したとする趣旨の放送をしました。

 しかし、日本共産党が拉致問題の解明に積極的であって、その解明を妨害した事実はいっさいありません。

 それは、日本共産党は、北朝鮮の金日成個人崇拝が顕著になった1970年代からそのおしつけに強く反対し、また北朝鮮の国際的犯罪である1980年代のラングーン爆破事件(1983年)や、日本漁船銃撃事件(1984年)、大韓航空機爆破事件(1987年)などにたいしても、いちはやくきびしい批判を発表し、国際的無法や日本国民にたいする権利侵害・主権侵害を決して許さないという態度を堅持してきたことに示されているとおりです。

 また、拉致問題そのものでも、1988年の日本共産党の橋本敦参議院議員の質問で、北朝鮮による拉致という疑惑の存在を政府に確認させて、事態の解明に向けて重要な一歩をふみださせたのをはじめ、事態の解明をすすめない警察に毅然(きぜん)とした捜査を求めた日本共産党の諫山博参院議員の質問(1990年6月、参院地方行政委員会)、横田めぐみさん事件をとりあげた橋本参議院議員の質問(1997年6月、参院法務委員会)、拉致をめぐる日朝交渉の現状をただした日本共産党の木島日出夫衆院議員(1998年3月、衆院法務委員会)など、真相解明と事態打開のために奮闘してきました。

 さらに、1999年には、不破哲三委員長(当時)が、代表質問で二度にわたり、拉致問題をふくむ日朝間の諸懸案を一括して取り上げるという現実的方策を示して、解決のために日朝両国政府間の正式の交渉ルートを開くべきだと提案もおこないました。この不破質問が2000年4月からの日朝国交正常化交渉、2002年9月の北朝鮮がはじめて拉致の事実を認めた日朝首脳会談へつながるものとなったのです。

 兵本氏の拉致問題での活動も、国会秘書として日本共産党国会議員団の方針に基づいて、その指揮下において活動したもので、日本共産党の拉致問題のとりくみの一端を担っていたのです。兵本氏が個人的な立場から活動したものではありません。番組のナレーションで「(国会)質問の内容を考えるのも兵本の仕事だ」とのべ、拉致問題の国会質問を準備したのはもっぱら兵本氏であるかのように描きましたが、日本共産党では国会質問をどのようなテーマで、どのような内容でやるかは、当該の国会議員を中心にかならず集団的討議を経て議員の責任でおこなっているものであって、秘書が用意した質問をそのまま議員が読み上げるようなことは絶対にありません。

 さらに、ドラマの後半で、兵本氏が「横田めぐみさん事件」の実名報道や拉致被害者の家族会結成に奔走するシーンがありますが、兵本氏の除名後の活動であるかのように描かれています。しかし、これも兵本氏の除名後の活動ではなく、日本共産党の国会秘書としておこなった活動です。

 さらに、日本共産党による兵本氏の除名については、本当の除名の理由は、拉致問題が理由ではなく、次のような事実が真の理由でした。

 兵本氏が定年退職間際の1998年5月に、東京・赤坂の料理屋で警察庁の警備公安警察官と会食し、彼が国会議員秘書を退職した後の「就職」あっせん依頼の「面接」をしていたことがわかり、この事実が、日本共産党の規律にふれたとして除名になったのが真相です。

 日本共産党は、党内にスパイを送り込んだり、党員から卑劣な方法で情報を得ようとする、違法な情報収集や謀略活動をおこなっている警備公安警察の関係者に対する態度は特に注意を払っており、個人的に接触することを禁止しています。このような警備公安警察関係者とひそかに会い、しかも同関係者に退職後の「就職」のあっせんを依頼するなどの兵本氏の行為は、日本共産党の党員として両立しない行為です。しかも、兵本氏は、この点についての指摘に対しても全く反省しなかったのです。

 このように真実と異なる放送になったのは、フジテレビジョンが日本共産党への取材をせず、事実を十分確認しないまま放送してしまったためです。

《謝罪放送》

 フジテレビジョンで、平成15年9月12日夜9時からの時間帯に、「金曜エンタテイメント・完全再現!“北朝鮮拉致25年目の真実”」と題するテレビ番組で訂正放送のとおり、事実に反する放送をおこない、このため日本共産党の名誉を傷つけ、多大なご迷惑をおかけする結果となってしまったことについて、日本共産党および関係者に対し、深くお詫(わ)びし、謝罪いたします。


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