日本共産党

2003年9月24日(水)「しんぶん赤旗」

米国によるグレナダへの軍事侵攻とは?


 〈問い〉 党大会決議案にも出てくる、国連総会が批判した米国のグレナダへの軍事侵攻とは、どういう事件ですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 グレナダへの軍事侵攻とは、一九八三年十月に、南北アメリカ大陸に挟まれたカリブ海南東部の人口十一万人(当時)の島国の政府を、米国が武力で打倒した事件です。

 十八世紀にイギリスの植民地となっていたグレナダは、英国自治領を経て、一九七四年に完全独立します。しかしゲーリー首相とその一族は外国資本と癒着し独裁を強め、グレナダでは失業・貧困が深刻化しました。これに対し、福祉・教育・自由の共同努力をかかげる「ニュー・ジュエル運動」を中心にした島民決起が七九年に起こり、ゲーリー政権は軍・秘密警察とともに崩壊しました。

 あらたに樹立されたビショップ首相らの人民革命政府は、商工会議所など国内各層の幅広い支持を受け、医療・教育の向上や観光事業の近代化に着手しました。外交でも非同盟・中立をかかげ、米国が経済封鎖しているキューバとも友好関係を築きました。

 米国はこうしたビショップ政権を敵視し、特に八一年からはグレナダ侵攻を想定した軍事演習をプエルト・リコのビエケス島でくり返すなど、圧迫を強めていました。八三年十月、政権内の内紛でビショップ首相が死亡、革命軍事評議会が設立されると、米国はこのときの混乱に乗じ、在グレナダ米国人の安全などを口実に、カリブ海の六カ国にも共同出兵させ、六千人以上の軍隊を投入して戦闘のすえ政府を打倒しました。

 日本の中曽根首相は侵攻直後に米国に「理解」を表明しました。しかし国連安保理で、独立国の主権を踏みにじった米国を支持する国はなく、十一月の国連総会も米国を非難する決議を圧倒的多数で採択しました。軍事介入即時停止・外国軍の即時撤退などを要求するこの決議には百八カ国が賛成し、日本など二十七カ国が棄権、反対は米国など九カ国でした。

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 〔2003・9・24(水)〕


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