2003年9月22日(月)「しんぶん赤旗」
「新しい時代にふさわしい」(安倍晋三新幹事長)と宣伝する自民党の新役員(二十一日発表)。新幹事長の資金集めや、裁判所からも「政治家としての適格性」を問題にされた旧幹事長の処遇をみると――。
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新しく自民党幹事長となった安倍晋三官房副長官(49)。同氏の政治資金をみると、公共事業を受注する建設業や、医療・製薬業界の政治団体から多額の献金を受けており、自民党の旧態依然の資金集めをしていることがうきぼりになっています。
政治資金収支報告書によると、安倍氏の資金管理団体「晋和会」は二〇〇二年、約一億五千七百万円の収入があり、国会議員の資金管理団体の収入ランキングで九位(自民党では八位)。トップ10入りしています。
同年収入分のうち、97%が資金集めパーティーと、医療・製薬業界などの政治団体からの寄付でした。
三回開いた資金集めパーティー、「政経セミナー」は、開催費用約七百四十万円で、約八千二百万円もの収入を得るという荒稼ぎぶり。大口のパーティー券購入者は、日本医師連盟と製薬産業政治連盟でした。
両連盟のほか、日本薬剤師連盟、日本薬業政治連盟など医療・製薬業界の政治団体から安倍氏が受け取った金は、寄付とパーティー券あわせて千七百十万円にのぼります。医療・製薬業界からの献金は、保険料や税金といった健康保険財政を原資としているため「税金の還流」とも呼べるもの。安倍氏は自民党の社会部会長経験者です。
安倍氏は、精神病院の協会の政治団体で、「心神喪失者処遇法案」の審議中に献金したことが問題となっている「日本精神科病院協会政治連盟」からも三十万円の献金を受けていました。
同氏が代表をつとめる〇一年分の政党支部の収支を見ると、党本部からの交付金を除くとほとんどが企業献金(約三千七百六十万円)。
公共事業を受注している大手建設会社、地元の建設業などから幅広く献金を集めているほか、三つの医療法人(計百三十二万円)、製薬メーカーから献金をうけていました。利息制限法違反の高金利で貸し付けをするクレジット会社(「日本信販」)などからの献金もありました。
統一協会関係者である女性と“愛人関係”にあり、「政治家としての適格性」が問われる――。東京地裁がさる八日、そんな判断を示した山崎拓自民党幹事長はその処遇が注目されましたが、小泉総裁は、引き続き副総裁という要職に起用しました。
山崎氏は、同氏の女性問題を取り上げた『週刊文春』を名誉棄損で東京地裁に提訴しましたが、八日に全面敗訴。判決は、(1)山崎氏と女性が“愛人関係”にある(2)女性は統一協会の関係者である――という事実関係について、「真実であるか、真実と信じる相当な理由がある」と認定し、「政治家として失格」という論評は名誉棄損にあたらない、と判断しました。
その直後の、副総裁起用――。
「(女性問題で)敗訴した前幹事長の副総裁就任は絶対容認できない」(二十一日、野中元自民党幹事長)などと党内でも批判の声が上がっています。
問題は地裁判決が指摘したように、単なる女性問題ではなく、「政治家としての適格性」にかかわる事柄。その人物をあえて、副総裁に起用した小泉首相の「適格性」も問われます。