2003年9月20日(土)「しんぶん赤旗」
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国連児童基金(ユニセフ)イノセンティ研究センター(本部、イタリア・フィレンツェ)は十八日、経済協力開発機構(OECD)に加盟する二十七カ国で児童虐待によって十五歳未満の子どもが毎年三千五百人死亡しているとの調査報告を発表しました。OECDには、経済的に比較的豊かといわれる先進・中進工業国が加盟しています。
十五歳未満の人口十万人当たりの死者を国別にみると、ポルトガルが三・七人とトップで、これにメキシコの三・〇人、米国の二・四人が続いています。さらにフランス(一・四人)、ハンガリー(一・三人)、ニュージーランド(一・三人)、チェコ(一・二人)、ベルギー(一・一人)となっています。
スペイン、ギリシャ、イタリア、アイルランド、ノルウェーの五カ国は〇・一人から〇・四人と最低レベル。日本は一・〇人で十位です。
調査報告は、子どもの虐待死が最低レベルの国々ではおとなの暴行死も少ないことを指摘し、社会全体として暴力と児童虐待とに関係があることを明らかにしています。貧困やストレスとの関係も指摘。加害者の80%が実父母であることを指摘し、家庭内の児童虐待の背景に麻薬やアルコール中毒があることを明らかにしています。
報告は、OECD諸国は刑法で子どもに対する体罰を禁止し、ほとんどの国で学校での体罰を禁止しているが、子どもの体罰を全面的に禁止した法律があるのはオーストラリア、デンマーク、フィンランド、ドイツ、アイルランド、ノルウェーとスウェーデンの七カ国だけだと述べ、各国に法整備の推進を求めています。