2003年9月11日(木)「しんぶん赤旗」
十日午前一時二十分から四十五分ごろにかけ、朝日新聞東京本社(東京都中央区)と産経新聞東京本社(千代田区)に、男の声で「田中均外務審議官宅に爆弾を仕掛けた」と電話がありました。駆け付けた目黒署員が目黒区駒場の同審議官宅の一階駐車場で、リード線とステンレス製のポットが置かれているのを発見しました。同審議官や家族は一時、近くの警察施設に避難し、警視庁公安部などが不審物を撤去しました。ポットの中にはガスボンベを入れた時限発火装置が付いていました。
男は朝日新聞に「コクゾクセイバツタイ」、産経新聞に「ケンコクギユウグン」をそれぞれ名乗ったといいます。ポットの形状が、福岡市や新潟市の朝銀信用組合に置かれた不審物と酷似しており、公安部は朝鮮総連などを狙った一連の襲撃事件と同一犯の可能性が高いとみて調べています。
調べによると、ポットは高さ約三十センチで、中にはガスボンベが入れられ、乾電池やタイマーとリード線で結ばれていました。そばに「建国義勇軍 国賊征伐隊」と手書きされた封筒があり、中にワープロ打ちで「敵性国と通じ便宜を図ることに精を出している。まったくもって許し難い」などと書かれた紙が入っていました。
田中審議官は、昨年九月の日朝首脳会談やその後の拉致被害者家族の帰国問題などで、北朝鮮との交渉役を務めました。
一方、男は新聞社への電話で、野中広務自民党元幹事長の議員会館事務所に「ライフル弾を入れた封筒を送った」と話しました。同事務所によると、不審な郵便物は届いていないといいます。