日本共産党

2003年9月8日(月)「しんぶん赤旗」

酒の販売が完全自由化

経営ピンチ 酒屋さん

“自民党は助けてくれない
共産党は一緒に頑張った”


 今月一日から酒販免許が完全自由化されました。地域で昔から商売を営んできた酒屋さんは危機的な経営困難に陥っています。金も票も集めて熱心に自民党を応援してきた酒販業界。しかし、「『規制緩和』一辺倒では地域経済も日本もダメになる」「国民の健康や安全よりも大企業のもうけを優先するのか」と、政府・自民党に痛烈な批判が広がっています。窮地に立った酒販業界の“思わぬ”味方になったのが日本共産党でした。(那須絹江記者)


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「緊急調整地域」指定を前に国税庁に申し入れる山口富男衆院議員(右から3人目)、(その左から)井上美代参院議員、安部安則衆院比例東京ブロック・16区候補と酒販組合役員=8月25日、衆院議員会館

 かつて酒屋で買うのが当たり前だったお酒。ここ数年、コンビニや大型スーパーなど売り場は広がっています。酒販売は免許制で、店と店の間の「距離基準」、一店あたりの「人口基準」などの規制がありました。

 九八年に政府が閣議決定した「規制緩和三カ年計画」のもとで徐々に規制が緩和・撤廃され、ついに完全自由化に。

異業種が続々参入の動き

 「免許」とは名ばかり、申請すれば犯罪者や暴力団でない限り「だれでも、どこでも」販売が可能になりました。これを機に宅配ピザのチェーン店、レンタルビデオ店、百円ショップなど異業種が続々、参入の動きをみせています。

 東京・荒川区で代々続く酒屋「山乃屋」を営み、東京小売酒販組合の副理事長も務める安田正義社長は、「規制緩和」の問題点を指摘します。

 「競争で小売店がつぶれ、商店街はさびれる一方です。大企業はコスト削減を理由にリストラと賃下げを続けている。価格が多少下がったとしても消費者は本当に『得』をしているのでしょうか。『規制緩和』で得しているのは、ほんの一握りの人間と企業です。未成年の飲酒や酒酔い運転などの犯罪が社会問題になるなか、酒販売を野放しにしていいのか」

 全国小売酒販組合は、署名活動や各党要請を必死に展開してきました。しかし、自民党は、百六十五万人分もの「規制緩和反対」の請願署名に背を向けました。

 そんななか、各地で酒屋さんとの対話を重ね、共同してきたのが日本共産党です。

 四月、衆院財務金融委員会で日本共産党の佐々木憲昭議員は、「この五年間に二万四千件を超える小売店が廃転業・倒産し、失そう・行方不明者は二千五百四十七人、自殺者が五十八人。たいへん痛ましい状況だ」「異常な競合状態だ。日本経済の底辺を守れ」と、政府に規制緩和路線の転換を求めました。

 与党席はガラガラ。佐々木議員が「どうなっているのか。重要な審議をしているのだ」と委員長に指摘する場面も。

一部地域で新規参入規制

 支持業界の離反を恐れた自民党は、規制緩和を一部制限する「緊急措置法」を議員立法で提案、先の通常国会で全会一致で成立しました。経営困難な業者の割合が著しく高い地域を「緊急調整地域」に指定し、新規免許を一年間制限するというもの。しかし、二年間の時限立法で、「規制緩和の推進」という文言も盛り込まれています。

 法案審議にあたり、懇談会を開いて酒販組合の要望を聞いた日本共産党の池田幹幸参院議員は、「まじめな酒屋さんがいじめられて、不当廉売するところが生き残る。こんなことを政治が許していいのか」と迫り、政府側は「ご意思を踏まえて、(緊急措置法の)運用にあたる」と約束しました。

 この答弁をもとに、国税庁とぎりぎりまで交渉を重ねた結果、全国の三割弱にあたる九百二十二地域が指定されました。

 東京・江戸川区北税務署地域では昨年、百を超える業者が免許取得を申請しました。今回、「緊急調整地域」に指定されたことで新規参入はなくなりました。地域の酒販組合役員は、「共産党は、あきらめかけていたわれわれを励まし、最後まで一緒に頑張ってくれた」と喜びます。

 しかし、指定されなかった七割以上の地域も、経営の深刻さに変わりはありません。「自民党が助けてくれると思っていたが、もうダメだ」「大銀行は救済しても、支持者の酒屋ひとつ守れないのか」と、怒りと失望の声が相次いでいます。

 安田社長は、「この問題で共産党の力は大きかった。個人的にも共産党の中小企業対策に共感している。今後も力をあわせていきたい」と語っています。


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