日本共産党

2003年9月4日(木)「しんぶん赤旗」

教員給与 引下げ“自由”

義務教育費国庫負担の「定額化」

文科省 来年度導入めざす


 文部科学省は三日までに、公立小中学校の教職員給与の半額を国が負担する「義務教育費国庫負担制度」の見直しにあたって、国から支給された負担金の範囲内で各都道府県が、教職員の定数や給与を弾力的に決められる定額制(総額裁量制)を検討し、来年度からの導入を目指していることを明らかにしました。


 義務教育費国庫負担制度は、国として子どもたちへの教育に責任を持つ根幹となっています。等しく教育を受ける権利や義務教育の無償を定めた憲法二六条や、教育基本法の趣旨にたって、教育の機会均等とその水準の維持向上をはかる観点から実施されてきました。

 現在、四十人学級を基準に教職員の定数が決められています。総額裁量制は、都道府県別に国基準で算定した一人当たりの給与を単価とし、これを定数分だけ確保したもの(単価×定数)を定額として支出。具体的な使い方はそれぞれの自治体の裁量として認めるものです。

 文科省は「教職員数を減らして給与を増やしたり、給与を減らして教職員を増やしたりできるようにする」と説明します。増員を理由にした教職員給与の引き下げや、賃金の安いパート的な教職員の拡大につなげることが可能となり、教職員の身分の不安定化を容認するものです。教職員の身分を尊重し、待遇の適正を期すことでより良い教育をはかってきた教育行政を後退させ、教育水準の維持向上に逆行しかねません。

 今回の方針は、国が義務教育費の“半分”を負担するしくみは維持しつつも、「三位一体の改革」として義務教育費国庫負担の削減をすすめる小泉内閣の「構造改革」を文科省として受け入れたものです。「骨太の方針第二弾」(二〇〇二年六月閣議決定)は、「国庫補助負担金について、『改革と展望』の期間中(二〇〇二年度―二〇〇六年度)に、数兆円規模の削減を目指す」とうたい、財務相、文科相、総務相の「三大臣合意」(昨年十二月)では「義務教育費国庫負担制度の改革(例えば定額化・交付金化)のための具体的措置を講ずるべく、所要の検討を進める」ことが打ち出されていました。

 定額制への移行のほか、教職員の退職手当・児童手当を国庫負担の対象からはずすことも検討されています。年末に向け、財務省などとの間で調整が進められます。


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