日本共産党

2003年9月4日(木)「しんぶん赤旗」

チュニジアの七日間(11)

中央委員会議長 不破哲三

チュニジアの閣僚たちとの対話でにぎわう


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大統領主催の歓迎レセプションでチュニジア政府のネジハ・ベンイエデル女性・家族・子ども問題担当相と=7月28日

日本大使の紹介でまず女性閣僚と交流

 大統領との対面の部屋からまた少し歩いて大広間に出ると、そこが晩さん会の会場だった。しかし、テーブルの上に、おつまみ風の皿がいくつかとジュースや水をいれたコップがある以外、晩さんらしい支度はない。

 ともかくそこで森原さんとも合流、外国代表たちの姿も増え、主催者側の人も現れて、人の集まりは次第に晩さん会らしくなってくる。そこで大いにお世話になったのが、小野大使である。顔見知りの閣僚たちを見つけては、次々と紹介してくれる。

 こうして最初に握手を交わしたのが、女性閣僚のネジハ・ベンイエデルさん。女性・家族・子ども問題担当相だという。「女性と家族と子どもが担当だとは、まさにチュニジア社会をささえているようなものではないか」というと、“わが意を得たり”という表情で大いに喜んでくれた。日本でも女性の社会進出には困難があるが、女性がそのなかで頑張っていること、「私たちはとくにそこに力を入れており、日本共産党の全国の女性議員数は千三百人をこえて、他のすべての政党の合計よりも多い」ことなどを話す。これには、強い驚きの反応だった。

重要閣僚の面々が次々と……

 次は、シェドリ・ネファティ社会問題・社会連帯相。党の書記長だった経歴をもつ人物で、なかなかの実力者のようである。「貧困をなくし、社会保障をきちんとすすめることが自分の仕事、チュニジア国民の安定にとって重要な任務です」と語る。「みじめな暮らしをしている国民が一人でもいれば……」という大統領演説にてらしても、この国がここに戦略的重点をおいていることは、よく分かる。

 小野大使が続いて引き合わせてくれたのは、モンドヘル・ゼナイディ観光・貿易・伝統工芸相で、「チュニジアで観光は国内総生産の7%を占める重要産業であり、観光施設の整備と観光客の誘致に力を入れている」ことを力説、最後は「日本からももっと多くの観光客が来てほしい」という陳情めいた話になった。

 紹介の最後は、ヘディ・メヘニ内務・地域開発相。はじめに「司法大臣」と聞いたので、そのつもりで話しかけると、いや「司法大臣よりずっと責任の大きい仕事をしている」と、全国二十四県に分かれる地方の開発をはじめ、内政を広く担当していることを、説明してくれた。

いきなりウラン売り込みの話が

 その間に、興味ある出会いがあった。

 黄色いガウンを着た大柄な人物が寄ってきて、「ニジェールの代表です」と自己紹介する。ニジェールといえば、ナイジェリアの北隣の内陸国、元フランスの植民地で一九六〇年に独立、ウラン鉱開発で有名な国である。

 「私は、ニジェールのウラン輸出管理委員会の責任者です。日本の電力会社はいいお得意さんだ。日本がウランをもっとたくさん買ってくれないでしょうか」と、最初から、ウラン売り込みの話が飛び出してきた。

 ちょっと、待てよ。たしかいまイギリスのブレア政権を苦境に陥れている“フセイン政権がウランを大量に買い込んだ”というニセ情報の相手先は、ニジェールではなかったか。そこのウラン輸出の責任者が、そのことを知っての上のことかどうかは分からないが、日本人と見たら電力会社の関係者に見立てて、ウラン売り込み話を気軽に持ち出してくるのだから、びっくりせざるをえない。(つづく)


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